「新しい人を採用してもすぐに辞めてしまう…」
「対策はしているつもりなのだけれど、なかなか離職率が下がらない…」
このようなお悩みを抱えてはいませんか?
離職率が高ければ人材不足につながり、在籍する従業員への負担が大きくなるため注意が必要です。離職を防ぐ対策を正しく行い、離職率の引き下げに努めなければなりません。
こちらの記事では離職率の高い企業が抱えるリスクから、主な退職理由とその防止策についてご紹介しています。
離職率の高い企業が抱えるリスク
離職率が高いことによって、企業は以下のようなリスクを伴います。
- 従業員の業務負担が増える
- 新たな人材採用に費用や時間などコストがかかる
- 優秀な人材が流出する
離職率が高いということは、永続的に従業員が退職していく状態です。人手が不足し、従業員への業務負担が増えてしまいます。
さらに、新しく人材を採用しても、離職率が高ければ何度も採用を行わなければなりません。新たに従業員を雇うだけでも多くの費用や時間がかかるため、会社として大きな負担となります。
場合によっては優秀な人材が流出する可能性があるなど、離職率の高い企業には多くのリスクがあると言えるでしょう。
人材との「ミスマッチ」が原因-離職率の高い企業の特徴
離職率の高い企業には、以下のような特徴があると考えられます。
- 労働基準法に違反している
- 求人広告と実際の労働条件が異なる
- 人材育成がおろそかになっている
- 評価制度が整っていない
- 福利厚生が充実していない
このように従業員が実際に働いてみて、会社に対して不満を抱くことが離職率の高い企業の主な特徴です。離職する原因の多くが会社との「ミスマッチ」とも言えます。
逆に、離職率の低い企業には休暇が取得しやすく、評価制度が整っているなどの特徴があります。企業側が従業員の働きやすい環境づくりに努め、ミスマッチを防ぎさえすれば離職率を下げることができるでしょう。
そのためには労働基準法を今一度確認し、人材育成のための評価制度を見直したりして企業体制を整えることが大切です。
主な離職理由とその対処法!
離職率を低下させる取り組みとは?
厚生労働省が発表した「令和2年雇用動向調査結果の概況」によれば、会社を辞めた理由のうち、各年代で比較的多かった退職理由は以下の3つとなっています。
(定年および契約期間満了を除く)
- 労働時間、休日等の条件が悪かった
- 給料が少なかった
- 職場の人間関係が望ましくなかった
このように、労働時間や給料、人間関係などは従業員の働く環境にまつわるものです。そのため職場環境の問題が離職率の増加につながると考えられます。
では、これらの離職理由に対して、具体的にどのような対策を行えば良いのでしょうか?
ここからは厚生労働省の採択事業、株式会社浜銀総合研究所による「看護人材の離職防止対策に関する報告書」から、分析結果をもとに有効と考えられる取り組みについて紹介していきます。
「労働時間や休暇の取りにくさ」に対する離職対策
労働時間や休暇の取りにくさといった従業員の不満を解消するためには、具体的な就業条件や働き方に関する情報をあらかじめ示しておくことが大切です。
実際の労働時間や拘束時間の問題は、就業条件が明確にされていないことが原因かもしれません。また、仮に就業条件が定められていたとしても、それが守られていない現状が主な課題と考えられます。
たとえば、休暇を取るタイミングが明記されていなければ、取りづらい雰囲気が生まれてしまいます。きちんと定時で仕事を終える取り組みがなされていなければ、定時で帰りづらいと感じてしまうでしょう。
就業条件を明確に定め、実態に即して求められる働き方に関する情報をあらかじめ示しておけば、労働時間や休暇の取りにくさに対する従業員の不満を少なくすることにもつながります。
「給料が少ないこと」に対する離職対策
給料が少ないといった従業員の不満に対しては、次のような取り組みが必要です。
- 勤続年数や役割に応じた賃金モデルを提示する
- 評価制度を整えて、専門性や成果を評価する賃金モデルを提示する
- 資格手当等を充実させる
事業の利益はきちんと従業員へ還元されなければなりません。従業員が頑張っているのにも関わらず、給料等で正当に評価されなければ「給料が低い」と感じてしまう可能性があります。そのため、勤続年数や役割に応じた賃金モデルのほか、評価に対して正当な賃金モデルなどを提示する必要があります。
場合によっては、ファイナンシャルプランニングを行うことや、具体的なライフスタイルのイメージ「生活モデル」を示すことも有効手段の一つと言えます。
「職場の人間関係や雰囲気」に対する離職対策
職場の人間関係や雰囲気に対する従業員の不満を取り除くためには、以下のような取り組みが必要です。
- マネジメント人材の育成
- 求人情報に経営者や直属の上司、同僚などの情報も充実させる
- 意見を言い合えるような関係性をつくる
- 事業所ごとに取り組み内容とその状況を公開する
- 問題発生時は管理職が適切に介入する
職場の人間関係に不満を抱く原因として、管理的な職場で裁量の度合いが小さかったり、ハラスメント行為を行う職員がいたりすることが考えられます。
そのため事業所を取り仕切るマネジメント人材を育成し、人間関係の改善に努めるほか、意見を言い合えるような関係性をつくって従業員のストレスを軽減することが大切です。
職場内で良好な関係性を築く具体的な方策としては、従業員同士で感謝の気持ちを伝え合ったり、社員が上司に対して率直な意見を言える環境づくりなどがあります。できる限りコミュニケーションを取る機会を設けることが関係性の構築につながります。
離職対策にかかる費用をまかなえる「小規模事業場産業医活動助成金」
離職率を減らすためには、定期的なストレスチェックや教育制度を取り入れることも大切です。
産業医の設置義務がない従業員50人未満の小規模事業者も、積極的に産業医を選任しましょう。それにより従業員の離職を未然に防ぐだけでなく、従業員のパフォーマンス向上にもつながるため業績アップも期待できます。
しかし、実際には産業医の設置にかかる費用負担について頭を抱える方も少なくないかと思います。そこで、小規模事業者にあてはまる皆さまには、「小規模事業場産業医活動助成金」の利用がおすすめです。
小規模事業場産業医活動助成金の詳細については、以下の記事で紹介しておりますので、ぜひ併せてチェックしてみてください。
※現在は受付休止中
[関連記事]
小規模事業場産業医活動助成金とは?助成金で産業医を設置しよう
※現在は受付休止中(廃止)
環境を整え、離職率を減らす取り組みを!
従業員の不満を取り除くためにも、適切な評価制度を整えたり、人材の育成を行ったりして、職場・事業所の環境改善に努めることが大切です。
離職率が高ければ人材が不足し、在籍する従業員一人ひとりの負担が大きくなるだけでなく、費用や時間もかかります。しかし、企業側が従業員の働きやすい環境づくりに努め、ミスマッチを防ぐ対策を取ることで、離職を軽減することは可能なのです。
そして、離職防止対策を推めるためにも、小規模事業者も積極的に産業医を設置しましょう。
〔参考文献・関連リンク〕
- 厚生労働省・独立行政法人労働者健康安全機構:産業保健関係助成金※重要なお知らせ
- 厚生労働省:効果的な離職防止対策推進のための多様な人材層ごとの介護人材の離職事由に係る調査研究事業報告書
- 厚生労働省:令和2年雇用動向調査結果の概要
初出:2021年02月04日 / 初出:2022年11月09日 |