2025年5月14日、「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律」(令和7年法律第33号)が公布されました。
働き方の多様化に対応し、すべての働く人の安全・健康を守るために大きな影響を及ぼす内容になっており、「50人未満の事業所へのストレスチェック義務化」など実務担当者にとって重要なポイントが含まれています。
本記事では、主な改正内容と実務で押さえるべきポイントをわかりやすく解説します。
【 目次 】※各タイトルからページ内の該当箇所にスクロールします
改正労働安全衛生法のポイント
1. 個人事業者等に対する安全衛生対策の推進
2. 職場のメンタルヘルス対策の推進
3. 化学物質による健康障害防止対策等の推進
4. 機械等による労働災害防止の促進等
5. 高年齢労働者の労働災害防止の推進
6.(関連)治療と仕事の両立支援の推進
施行スケジュールまとめ(2025年7月時点)
改正労働安全衛生法(令和7年法律第33号)のポイント
項目詳細・施行スケジュールを下部にまとめていますのでご参照ください。
1. 個人事業者等に対する安全衛生対策の推進
【対象】個人事業者を扱う事業者(一部、個人事業者等自身も含む)
これまで保護対象外だった個人事業者等にも安全衛生対策が義務付けられます。
現場で個人事業者等を受け入れている場合、既存の労働者だけでなく個人事業者等を含めた災害防止措置や情報提供体制の整備が必要です。
2. 職場のメンタルヘルス対策の推進
【対象】すべての事業者
50人未満の事業所もストレスチェックや高ストレス者への面接指導の実施が義務化となりました(これまでは努力義務)。ストレスチェックの実施体制の構築が必要となり、今後国としても「地域産業保健センター(地さんぽ)」の体制拡充など支援を進めていく予定です。
3. 化学物質による健康障害防止対策等の推進
【対象】化学物質を取り扱う事業者
SDS通知(安全データシートの交付)義務違反に罰則、個人ばく露測定を有資格者が行うことが義務化されるなど。化学物質を扱う現場では、通知体制や測定体制の見直しが欠かせません。
4. 機械等による労働災害防止の促進等
【対象】特定機械(ボイラー、クレーン、フォークリフト等)を使用する事業者
製造許可の一部(設計審査)や製造時等検査について、民間機関による検査が可能になり、不正防止策が強化されました。
検査委託先の見直し、技能講習の管理徹底が求められます。
5. 高年齢労働者の労働災害防止の推進
【対象】高年齢労働者を雇用するすべての事業者
高齢者の特性に配慮した作業環境の整備が努力義務化。今後国が定める指針 に従って、作業内容や配置の見直し、健康管理の強化を行う必要があります。
6.(関連)治療と仕事の両立支援の推進
【対象】すべての事業者
また、今回取り上げた改正労働安全衛生法に関連して、「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律(令和7年法律第63号)」も公布されました。
ハラスメント対策の強化や女性活躍推進の推進に続いて、事業所での「治療と仕事の両立支援の推進」が努力義務化されます(2026年4月1日~)。国が定める指針に基づき、がん、脳卒中などの疾病を抱える方々に対して、適切な就業上の措置や治療に対する配慮を行い、治療と仕事が両立できるようにするための取り組みを行っていただく必要があります。こちらもチェックしてみてください。
施行スケジュールまとめ(2025年7月時点)
施行日 | 内容 | 関連項目 |
---|---|---|
2025年5月14日 | 注文者等の配慮 | 1 |
2026年1月1日 | 特定自主検査及び技能講習の不正防止対策の強化 | 4 |
2026年4月1日 | 混在作業場所における元方事業者等への措置義務対象の拡大 営業秘密である成分に係る代替化学品名等の通知 特定機械等の製造許可及び製造時等検査制度の見直し 高年齢労働者の労働災害防止の推進 治療と仕事の両立支援の推進 | 1 3 4 5 6 |
2026年10月1日 | 個人ばく露測定の精度担保 | 3 |
2027年1月1日 | 業務上災害報告制度の創設 | 1 |
2027年4月1日 | 個人事業者等自身への義務付け 作業場所管理事業者への連絡調整措置の義務付け | 1 |
公布後3年以内に 政令で定める日 ※最長2028年春頃 | 職場のメンタルヘルス対策の推進 | 2 |
公布後5年以内に 政令で定める日 ※最長2030年春頃 | 危険性及び有害性情報の通知制度の履行確保 | 3 |
厚生労働省「労働安全衛生法及び作業環境測定法改正の主なポイントについて」参照
情報基盤開発で西暦表記に直して時系列に一覧化
今回の法改正は、すべての事業者にとって実務対応が求められる内容です。
各項目についてより詳細に知りたい方は、下記〔参考文献・関連リンク〕に記載した厚生労働省の該当ページをご参照ください。本記事でも追加情報などがあれば更新していきます。

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〔参考文献・関連リンク〕
- 厚生労働省:
高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン
初出:2025年07月11日 |