仕事をするうえで欠かせないのが、「人との関わり」。
どんな職種・業界であっても、何かしら「他人と関わる」「一緒に作業をする」機会はあるかと思います。
ご自身の体調・周囲の人との相性・抱える問題などさまざまなストレスが積み重なり、余裕のあるときには何てことないことにもイライラする…… ささいなことでカッとなってしまいそうになる……といった場面も、忙しい職場ではよく起こりがち。
人は強い怒りや不安を感じると、脳内でアドレナリンが大量に分泌され、一時的に脳が冷静な判断を見失ってしまいます。このとき、衝動的に行動してしまうと、必要以上に攻撃的な言動や相手を傷つける行動をとってしまうことも少なくありません。皆さまの中にも、「あぁやってしまった」という後悔や経験をお持ちの方もいらっしゃることと思います。
アドレナリン分泌のピークは「カッとしてから6秒まで」といわれています。この6秒を「ゆっくり数を数える」「深呼吸をする」などして自分を落ち着かせて乗り切れば、冷静な判断ができる状態に戻ってくることができます。
ですが、6秒間を耐えてきちんとした対応をしても、心に残ったイライラや怒りの感情が消えるわけではありませんよね。
そんなとき、その感情と上手く付き合い、イライラをコントロールする方法をご紹介します。
自分の「イライラ!」に点数をつけよう
カッとなった場面をやり過ごしてもモヤモヤがずっと残ってしまうような出来事に出合ったら、 今感じているイライラの対象となる出来事が「業務をするうえでどれくらい大切なのか」「自分にとって大事なことかどうか」を0~100店で点数をつけましょう。
人生で一番の怒りを100/普段の全く怒りを感じていない状態を0として考えたときに、そのもやもやは何点くらいでしょうか?何点くらいまでは許せそうですか?
100点に近い90~70点のものは落ち着いた頃にきちんと相手に伝えるべきですが、30点以下のものは落ち着いて考えると「どうでもいいこと」「ささいなこと」「そのときの気分・別のことでイライラしていたから」がまじっているかもしれません。
実際の出来事をいくつか書き出して比べてみると、自分が何を許せないのか、どのような場面でよりイライラするのかがわかってくるため、長期的なストレスへの対処法、セルフケアとしても活用できます。
いらないイライラを忘れるためには
「自分で」「自分に」働きかけよう
あなたが点数をつけたイライラは、どのような位置にありましたか?
思ったほど点数が高くなかった、そこまで「許せない!」 というほどではなかった、こんなささいなことでイライラしていたら身が持たない……と感じたのなら、気づいた今が手放すチャンスです。
メモなどにその詳細を書き出して、「捨ててやった!」と思う方法で処分しましょう。くしゃくしゃに握りつぶしたり、 ちぎったりと実際にメモをぼろぼろにして捨てると気持ちの整理がつきやすくなりますので、おススメです。
それでも、どうしてもイライラする!という方は、記憶の中の自分やイライラを感じてる自分に、「お守りになる言葉」を言い聞かせてみてください。
この「お守り言葉」は何でも構いません。「大丈夫」や「ま、いっか」といったものが定番ですが、趣味や楽しみな予定を思い起こす言葉・フレーズも有効です。
自分に言い聞かせやすく、安心したり納得する効果があるか、一つひとつ実際に試してみて効果のあるものを選びましょう。
ちなみに、私の「お守り言葉」は「ま、いっか」・「大丈夫」・「そうだね!」の3つです。特に「そうだね!」は「確かに正しいんだけど……」や「今こんなことにかまっていられない!」と思うことを、イライラする前に一度受け止めて、受け流してしまうことのできるいい言葉だと思っています。
「お守り言葉」を自分にかける習慣が身につくと、カッとなったときもその言葉を反射的に心の中で唱えることができるようになります。
「お守り言葉」は、ミスや衝突した相手を「許す」のではなく「人間には限界がある」ことを知り、「集中すべきことに自分の力を使う」ために自分自身を納得させるためのものです。
怒りの感情は、嬉しい・悲しい・誇らしい気持ちなどと同じくらい大事な感情で、自分の一部でもあります。「職場で、今、その感情を行動に出してしまわないほうがよい」というだけですので、なかったことにしたりしないで、点数をつけるときなどに見直して「どうして怒っていたのか」を考えてみてくださいね。
〔参考文献・関連リンク〕
初出:2019年12月18日 / 編集:2025年5月16日 |