「地方×製造業 働き方改革、人材確保の取り組み」【1】(髙木敏光氏セミナーアーカイブ)

当記事は、弊社が過去に開催したオンラインセミナー「組織改善Week」より髙木敏光氏の『地方×製造業 働き方改革、人材確保の取り組み』を書き起こしたアーカイブレポートの再編集です。
(当アーカイブは、該当セミナーを2回に分けてお届けしています。なお、講師の先生方の肩書などについては講演当時のものです。)


企業にとって財産ともいえる人材をどのように確保し、組織を育てていくのか。
企業はいま、現場を再構築する「経営力」を問われています。
 
特に、かつて「ものづくり大国」といわれ日本を支えてきた製造業は、さまざまな危機に直面しています。都市部への人口集中や地域格差が深刻化するなか、人材不足に悩む「地方×製造業」。
その経営の第一線に携わる、髙木綱業株式会社代表取締役の高木敏光氏に『地方×製造業 働き方改革、人材確保の取り組み』というテーマでお話をうかがいました。



司会(情報基盤開発 村上):
髙木綱業株式会社様は、香川県で繊維ロープという船等で使うロープの製造をしていらっしゃる製造業の企業様です。ロープを主として創業された会社ではありますが、色々な技術開発等が行われて、近年では高速道路やトンネルなどの社会実験にも携わっていらっしゃいます。例えば、下り坂・登り坂で減速が原因で渋滞が起こることがありますが、それに対するソリューションとしてLEDのライトが発光・点滅して、ドライバーが減速しにくくするような仕組みを作られて研究開発されたとお伺いしております。幅広く色々な研究開発に関わりながら、地方で活躍しておられる経営者の方ということでご理解いただければと思います。それでは高木様、お話をお願いいたします。
 

髙木氏:
ご紹介にあずかりました髙木綱業株式会社の高木と申します。よろしくお願いいたします。
 
それでは、地方製造業働き方改革と人材確保といったテーマについてお話をさせていただきたいと思います。
画面の共有をさせていただきます。

それでは、『地方×製造業 働き方改革、人材確保の取り組み』と題してお話をさせていただきます。
まず、お話に入らせていただく前に簡単に、弊社のご紹介からスタートさせていただきたいと思います。

名前は髙木綱業株式会社です。この髙木綱業の綱は糸へんに岡で綱という漢字ということで、繊維ロープの製造を中心にさせていただいております。また、それに加えて電子機器の製造販売もしている会社でございます。今年で創立68年目で、あと2年で70年を迎えます。

中小企業庁さんからは「がんばる中小企業・小規模事業者300社」、本社の所在する高松市さんからは「瀬戸の都・高松が誇るビジネスアワード」という賞も頂戴するなど、色々なことに取り組んでいることもご評価いただいております。
 
また、今年、厚生労働省の次世代育成支援対策推進法に基づく「くるみん認定」を取得いたしました。こちらは、後ほどお話をさせていただく取り組みの中で改めてご紹介をさせていただきたいと思います。

弊社は、本社が香川県高松市にあります。事業所としては東京に事務所が1件あります。また、工場は基本的に生産を国内でやっておりまして、本社工場とさぬき工場があります。市は違いますが、それぞれ香川県内に構えています。本社や工場の人材確保もこの地方特有の要因が関わってまいります

組織の構成は、営業部、繊維ロープ部、電気・電子機器部、また業務管理部という形になっております。男女の比率は、男性が約7割程度、女性が3割程度です。女性の比率が徐々に上がってきているところです。
また、部署ごとの割合は、繊維ロープ部が50%。この部の大半は製造に関わってくる人材であり、全社員の約半数が製造に関わる職種です。その他が基本的にオフィスワーカーもしくは営業で外に出ています。

そして、製造拠点についてです。香川県高松市内にある本社工場に繊維ロープと電子機器の部門が、また、香川県内のさぬき工場というところに、繊維ロープの本社とは異なるラインがあります。先ほどお話しした東京事務所を除くと、ほぼすべての社員を香川県内で採用をしております。
 
取り扱っている製品は、繊維ロープですが、超高強度、難燃などの特性を持った高機能繊維ロープが当社の主力の製品群で、その他特殊加工したものや一般的な繊維ロープについての製造・販売、開発を進めています。
電子機器も特徴的なものとして、繊維ロープと一体化したものがあり、工事現場などの保安灯に使っております。このトラロープに赤い照明がついた商品や、こちらの客船のイルミネーションのスワンライトロープです。豪華客船「飛鳥Ⅱ」などで採用いただいております。
 
その他、可搬型シートタイプ電光表示装置というものがあります。こちらは船舶から始まり、最近では陸上でも使っています。先日、渋谷のハロウィンのニュースがあったと思いますが、そういったところの誘導で警察の車両に巻きつけての使用などに活用いただいております。また、先ほどご紹介を頂いた高速道路渋滞緩和LEDペースメーカーライトというものなども作らせていただいております。お話に入る前に簡単に弊社のご紹介をさせていただきました。

こういった商品についてお話しさせていただいた理由でもあるのですが、繊維ロープをメインに製造販売をしているという弊社の背景も踏まえて、ここからお話を聞いていただければと思っております。

まず、繊維ロープ産業は、国内でも非常にレアな業種です。この繊維ロープのマーケットについて前提としてお話をさせていただきたいと思います。 現在、市場に流通している繊維ロープは、ほとんどが化学繊維を使ったものです。ポリエステルやナイロンなどの素材です。これ自体は戦後の造船・海運の発展、建設・土木業の発展などの高度成長期と合わせて市場に導入され、成長してきた市場になっています。1970年代頃にこの一般的な繊維ロープのマーケットはピークに達し、現時点では衰退期というか安定期・斜陽期に入ってきているところです。

この成熟してきた辺りから、国内のロープメーカーの特色が自然と分かれてきました。
各社の特色を出すことによってマーケットを細分化し、プロダクトライフサイクルを引き伸ばそうという狙いがある、と考えています。各社新製品によっての市場の付加、ユーザーを取り込んでいく用途開発で新市場を作り上げていこうといった流れがありました。

弊社でも、新しいマーケット自体を創造していく事業を進めております。
新マーケットを付加していく際の考え方として、例えば、これまでに取り扱ってきた分野とは全く別の分野の事業や商品展開による市場規模自体を足し算的に付加していくといったやり方、また、既存の技術や設備を用いながら、用途開発を起点とした新市場の展開や新技術、異文化技術の付加、統合をしております。あとは外部の企業や研究機関とのコラボレーションによっての市場開発です。
こういった色々な方法で新しいマーケットを付加していくスタイルになっています。

先ほど、弊社はもうじき創業から70年と申し上げました。そのような意味で、自然と社員の高齢化も進んで来ました。ここ10年くらいで人材の新陳代謝と申しますか、世代交代を進める中で、 新しいマーケットを付加していく際には必要になってくる人材がいます。
例えば、顧客の課題抽出やプロジェクトを推進できるような企画職、営業職といった人材です。
また、多品種少量生産に対応しながら効率的な生産を可能にするような生産管理の人材も求めています。製造という場面でも職人気質になりすぎず、柔軟な対応が必要です。また、社内の他の職種の方々と協業ができたり、学習姿勢のある製造職の人材が必要になってきます。

では、そういった人材確保の動きの中で、外部環境としてのマクロなお話をさせていただきたいと思います。
まず全国と香川県の有効求人倍率を一旦見ていきたいと思います。
 
有効求人倍率が1を超えると採用難、1を切ると就職難という傾向です。こちらは、オレンジが1.00、青線が全国の数値です。全国的にも1は超えていますが、これは去年からの1年間ですが、香川県は、全国平均を上回る有効求人倍率で、全国平均以上に採用がしづらい状況になっているという形です。

先ほど必要な人材についてお話をさせていただきましたが、この香川県内の職業別の求人および求職状況のデータを見ていきます。

この中の専門的、技術的職業が1.84倍です。販売の職業には、営業も入ってきますが、2.70倍です。それから、製造ラインに入ってくる生産工程の職業が2.45倍です。
香川県全職種全体の平均の有効求人倍率をさらに上回るという、「地方×製造業」の難しさが現れている背景となっております。

次に、年齢層別です。
これを見た場合に、香川県に限らず、地方はおよそ高齢化、いわゆる生産年齢の人口が空洞化したような人口分布になってくると思います。この香川県においても60歳を超えてくると、求職者の方が多い状況です。20歳から44歳は、求人の方が圧倒的に超過をしているという形で、なかなか働き盛りの世代の求人が難しい状況にあるという形になっています。

それから、これはプラスαとして、香川県の女性の求職状況です。
この円グラフで事務の職種が45%となっておりますけれども、色々ある職種の中で求職者の45%、ほぼ半数が事務職を希望しているといった地域の特性が出ています

ここまでのところを整理いたします。
データから、香川県は全国平均以上の採用難の傾向にあります。また、弊社の求めている職種は、特に求職者が少なく、その中でも会社の現在から未来を作っていく年齢層が非常に少ない傾向にあります。

そして、女性活躍や女性活用です。女性の人材の登用を見ても、女性の事務職志向が圧倒的に強いといったところがあります。また、このデータ以外に地元の定性的な傾向を肌で感じていますが、新卒の学生さんにしても漠然とした大手安定志向が強いです。明確に「こういう仕事をしていきたい」といったキャリアに対するプランやビジョンを持っている求職者の方もあまり多くないのかなという感覚があります。

それから、先ほど女性の事務職志向が強いというデータもありましたが、これも含め男女問わず、出張を伴う仕事が好まれない傾向にもあります。こういう地元志向の強さも実際にありました。

では、そういう背景を踏まえ、求人をどのように展開・開拓をしていこうかという中で、やはりセットになってくるのが、まずはより働きやすい環境を整備しようというところで、働き方改革に取り組まれている会社さんも県内に多数ございます。この香川県内の働き方改革事情もデータの方から見ていきたいと思います。
 

続きは、「地方×製造業 働き方改革、人材確保の取り組み」【2】(髙木敏光氏セミナーアーカイブ)をご覧ください。

 

初出:2026年04月16日


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