「育児介護休業法改正ポイントをわかりやすく解説!マネジメントに求められる意識改革とは」【3】(徳倉康之氏セミナーアーカイブ)

当記事は、弊社が過去に開催したオンラインセミナー「組織改善Week」より徳倉康之氏の『育児介護休業法改正ポイントをわかりやすく解説!マネジメントに求められる意識改革とは』を書き起こしたアーカイブレポートの再編集です。
(当アーカイブは、該当セミナーを3回に分けてお届けしています。なお、講師の先生方の肩書などについては講演当時のものです。)

 

 

 
徳倉氏:

そこで大事な考え方というところで、イクボスです。
 
今日はイクボス研修ではないのであまりイクボスには触れませんけれども、イクボスというのは何なのかと言いますと、育児をするボスではないのです。新しいマネジメントの手法の一つのお話だということなのです。

それで、広いくくりでワークライフバランスと言われますけれども、これは個人の問題ではなくて、やはり社会の問題になってきています。そうでなければ、男性の育休がここまでスポットライトを浴びてはこなかったのです。こういう中で男性の育休を進めていきながら皆さんの会社の働き方を変えていく、こういう時代にさしかかってきています。
 

ではこれから少し制度の話をさせていただきたいなと思っております。

(※講演中は、厚生労働省が出している資料をもとに説明。最新情報は下記の産後パパ育休特設サイトよりご確認ください。)

大事なポイントをいくつかかいつまんで、先ほどの風土のお話と一緒にお話しできればと思っております。
 
まず、もうすでに今年の4月から開始されていますが、「育休を取得しやすい雇用環境の整備」として、まずは育児休業、産後パパ育休に関する研修を実施してくださいとのことです。
 
先ほど少し触れましたけれども、そういう方が相談する体制をきちんとつくってください。
そして、自分たちの会社の中で取っている事例や情報を提供していってください。そして最後、周知をきちんとしていくとともに、自分たちの使っているその制度、会社としての方針をどんどん広めていってくださいとあるのです。
 
それでどのような周知が必要かというと、周知の仕方として記載しています。
面談、書面交付、FAX、電話、メール等のいずれかになりますが、①の面談というのはコロナもあってオンラインも可能であるとしています。ポイントとしては③のFAXやメールがありますが、これは労働者側が希望した場合のみなのです。
よく「社員全体に一斉メールしたのでうちは周知していますよ」とおっしゃることがありますが、これはNGなのです。実際にその人に宛てた書面を交付したり、一番良いとされるのは面談をしていただくことです。「配偶者が妊娠・出産をする予定と聞いたけれどもどういう予定ですか」「いつ育児休暇を取られますか」というふうに、どちらかというと「しっかり取りますよね」というスタンスで話をして欲しいと言っています。

そして、さまざまな要件も緩和しています。
 
このあたりはまた資料を見ていただきたいとは思いますが、一番大事なポイントはこの10月、育児休業の分割取得というところなのです。「産後パパ育休」とネーミングが付いていますけれども、育休とは別に取れる、お父さんだけに許されている休業制度です。

対象期間は、子の出生後8週間以内に最大4週間まで取得可能です
ここで大事なポイントは、休業の2週間前まででよいとされていることです。普通の育休は1か月前までですけれども、2週間前に伝えることで取れます。

そしてもうひとつ大事なポイントが、分割して2回取得することが可能です。
これはよく聞かれるのですが実はどういうことかと言いますと、自分の配偶者、例えば妻が出産をしますといった時に、例えば、11月10日に出産で、10日からの休暇取得申請を2週間前にしていたとしましょう。
この11月10日から1週間、まずこのパパ育休制度を使って、妻の退院のタイミングに一緒に休みます。そしてそこから一度会社に復帰をして2週間就業し、それでまたお休みを1週間頂いて子どものケア、妻のケアをするために取る。こういうようなやり方をイメージしています。
 
最初にまとめてどーんと取ることももちろん可能です。
「4週間取ります」ということも可能ですけれども、お仕事の都合であったり、さまざまな状況を含めて分割をして取ることができるというのが非常に新しいポイントになっています。

もちろん色々な取り方があって、ここに改正後の働き方、休み方のイメージが書かれていますが、この10月からですけれども、妻と夫が交互に育休を取れるようになってきています。
 
もちろん一緒のタイミングで取るということもこれまで通りできるようになります。ですから、非常に柔軟に育休がとれるようになってきました。
 
これはひとつ大前提として妻の方、女性の方にも仕事があってキャリアがあり、そのキャリアを断絶しないようにマネジメントをしていく必要があるということが大事なポイントになってきています。ですから面談であったり、周知であったり、研修というものが非常に大事になってきます。
どのように周知をし、きちんと面談をしながらその人の取得の意向を支えていくのか、少しの期間休むという状況が出てきますけれども、このポイントを使いきちんとワークシェアをしながら、人事評価にもつながるような動きをサポートした人にはつけていくというチャンスが生まれてくる。

このように考えていただきたいと思います。

そして実は今この改正育休法の中では、来年の4月以降、1,000人以上の企業に関しては育児休業制度、取得率の状況を年に1回公表することが義務づけられることになります。
 
これに併せて、今日のメインのテーマではありませんけれども、男女の賃金格差ということを是正していくために、ある一定の規模以上の会社は賃金の平均賃金を公表していくということも義務化されていきます。
これが併せて義務化をされていくということで何が起こるのかと言いますと、新卒や中途の方々が、この会社の育休取得率はどうなっているのか、男性と女性の賃金差はどうなっていくのかについて知ることができるというのが大事なポイントです。
 
今週の国の内閣府の中に私も出ていましたが、また厚労省から一つ意見が出ていまして、「現時点では女性の管理職が少ないので男女の賃金格差が生まれている」というような、これを付記と言いますけれども、その解説を入れることが可能になっています。
ですから、「自分たちの会社は今からこのように取り組み、改善をしている、今、男女の賃金格差が出ている理由はこうなのです」と公表できたりするのです。どんどん公表していくことによって、新しい人が自分たちの会社を選んでくれるということが出てきます。これはコストがかかるということよりも、自分たちの働き方を変えて公表していくことによって、皆さんの会社の魅力度が上がっていくことなのです。
 
非常に細かい事例や、これはどうしたらいいの?社会保険料のことはどういうふうに変わるの?というのは後ほど資料の中に各都道府県の労働局の電話番号等ありますので個別に聞いていただいて、確認をし合いながら進めていっていただきたいと思います。

「制約社員」がどんどん増えているという話ですけれども、実はイクボスだけに関わらず、働き方改革や男性の育休、もちろん女性の育休もそうです。


何で必要なのかを見ていきますと、そもそも労働人口が減少しています。そして今、賃金が上がっていく前提はもちろんありますが、やりがいや働きやすさを非常に重視しているところがあります。
最近、キャリアが継続できるかどうかということも非常に大事なポイントと言われています。

そうすることにより何が起こるのか。何が求められているのか。

皆さんの会社で離職を防ぐのです。
今日の最大のポイントですけれども、この男性の育休を進めていくようなマネジメント、風土改革をすることによって、今、皆さんの会社にいる人たちを辞めさせない仕組みをつくる、辞める人をなくしていく仕組みをつくる。

そういうことによって、各種公表制度というものはたぶんどんどん広がっていきます。今は1,000人以上ですけれども、これが301人以上とか100人以上と、おそらく広がっていくと思われます。こういった状況にあって、新しい人を雇い入れて企業を維持していく、組織を維持していくということなのです。ですから、新しい人をどんどん入れていこうということよりも、今いる人たちが辞めない仕組みをどうつくるのか、というのを今回のこの育休の制度が変わっていくタイミングで進めていただきたいと思います。

では、何から始めればいいのでしょうか?
実際に自分たちが育休の制度を変え就業規則も変えていってはいるが、なかなか男性の育休は増えていかないし、女性も育休から復帰をしてすぐ辞めてしまうという組織がたくさんあるのです。

ではどうしていくのか。ここが最後の大事なポイントです。
男性に育休を取りなさいと言ってもなかなか取らないので、まず何をするのかと言うと、皆さんの会社の中の有休の取得率を上げていただきたいのです。
 
なぜ有休なのか、大きなポイントが二つあります。
一つ目は、従業員全員が取得できる休暇だからです。まず有休が取れるような組織でなければ、育休や介護休暇はなかなか取れないと思います。ですから、育児をしている人、介護をしている人は家庭での大変なケアワークがあるのですけれども、では仕事においては、そういった制約ない方がなぜ代わりに担わないといけないのだろうか、という軋轢が起きがちです。そうではなくて、まずそこで働くすべての人たちが取れる有休の取得率をどんどん進めていく、やはり8割、9割ぐらいの消化率が前提として必要だと思いますので、まずそういう消化率を目指していきます。
 
二つ目のメリットですが、企業側のコストはかかりません。
何か新しい設備投資が必要だとか、何か特殊な研修が必要ということはなく、双方が合意しながら有休を取得させていきます。ではどうやって取らせればいいのかというのは、ぜひ企業内の個別面談の中で、目標や成果や数値だけを共有するのではなくて、上司と部下がまず、ではこの半年間の有休計画を一緒に策定しようということで取っていきます。もちろん、上司も取っていきます。
 
このような風土改革をしていくその先に、今年大きく変わった育休制度という波に乗りながら、さまざま公表していくことによって、今いる人たちが辞めない仕組みをつくりながら、新しい人たちが入ってくるというその風土をつくっていきます。そうすることによってマネジメントもおのずと変わっていき、ひとりによる仕事ではなく、チームによる仕事できてくるのです。
 
ですから、ぜひ今年、法律が変わって就業規則を変えないからといけないというだけではなくて、まずは有休の取得の推進を進めながら男性の育休というものに着手していただいて、皆さんの風土改革というものを推し進めていただきたいと思っております。
 
今日は非常に短くコンパクトにしました。
各種資料は後ほど見ていただければと思いますが、なるほどというところばかりだと思います。さまざまな所でいろいろなセミナーも実施されていますので、自分たちの職場の風土を変えていくことが大事なのだというところにぜひ気付いていただいて、ヒントにしていただければと思います。駆け足になりましたけれども、私のお話はここでいったん終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

 

〔参考文献・関連リンク〕

初出:2026年04月16日

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