「育児介護休業法改正ポイントをわかりやすく解説!マネジメントに求められる意識改革とは」【1】(徳倉康之氏セミナーアーカイブ)

当記事は、弊社が過去に開催したオンラインセミナー「組織改善Week」より徳倉康之氏の『育児介護休業法改正ポイントをわかりやすく解説!マネジメントに求められる意識改革とは』を書き起こしたアーカイブレポートの再編集です。
(当アーカイブは、該当セミナーを3回に分けてお届けしています。なお、講師の先生方の肩書などについては講演当時のものです。)

 

2022年10月から「改正育児・介護休業法」が施行されました。特に、男性育休の取得を促進する新制度「産後パパ育休」が加わり、メディアでも特集が組まれるなど注目が集まっています。また今後大企業は育児休業の取得率の公表が義務づけられる(2023年4月~)ことから、働きやすさ・イメージ戦略の一環としてアピールする企業も出始めています。
 
一方で、「育休制度を整えても、実際には男性は誰ひとり利用しない」 「女性も育休から復帰をしてすぐ辞めてしまう」など、メリットを上手く活かしきれていないとのお悩みも多く聞かれます。
 
そこで今回、自身も大手日用雑貨メーカー勤務時代に育児休業を取得した、ファザーリング・ジャパン理事 徳倉康之氏(株式会社ファミーリエ代表)に、「育児介護休業法 改正ポイントをわかりやすく解説!マネジメントに求められる意識改革とは」というテーマでお話をいただきました。
 
まず何から始めたらよいのか?職場風土づくりに必要な視点とは?コストをかけずに明日からでもできる取り組みとは?そのヒントがつまった講演の模様をお届けいたします。
 


徳倉氏:

皆様、こんにちは。ただいま情報基盤開発の村上様よりご紹介いただきました、株式会社ファミリエの徳倉と申します。今日はどうぞよろしくお願いいたします。
 
本日は育児介護休業法の改正について、特に男性の育休に焦点が当たってさまざま法律も改正され、本年2022年の4月、先月10月1日、そして来年2023年4月と3段階で、順次法律が施行されていくことになっております。
 
就業規則や運用を変えて、その中から育休の取得へ動き出す方、そしてそれをサポートする方々など、会社全体がこのタイミングで何を変えていかなければならないのか、またその変えるために何が必要なのかについて、今日は法律の解釈よりもその運用の方に力を入れてお話をさせていただきたいと思っております。どうぞお付き合いいただければと思います。


それでは、画面を共有させていただきます。

このようにテーマがございますが、やはり改正のポイントとマネジメント、その運用というところが非常に大切になってくるかと思います。
 
簡単に私の自己紹介ということで、私自身10年間都内のメーカーで営業マンとして勤務しておりまして、今からもう13年前になりますが、その時初めて育休を取得しました。私は子どもが3人おります。当時、長男と次男の育休を取得しました。その経験を基にして、メーカーの営業職からNPO法人ファザーリング・ジャパンに転職をしまして、政府や自治体、また大手の企業さんと一緒に働き方改革であるとか男女共同参画、そして男性の育休というところのお仕事をもう10年以上させていただいて今に至っております。
 
政府の委員も各種させていただきながら、施策立案も含めてさまざまさせていただいております。
本年は特に男性の育休の取得・推進であったりですね、昨年から務めておりますけれども、育休の周知徹底、解説等も厚生労働省さんと一緒にさせていただいております。

さて、実際「男性育休で本当に地域とか組織が変わっていくのか?」ということで、まずひとつ大事なポイントとして、ご紹介させていただきます。
 
これは厚生労働省が公表している資料の一つになるのですが、「施行に向けて準備していただくこと」となっております。少しイメージとして、なぜ今年こういう法律が変わってきているのかというのを俯瞰(ふかん)して見ていただくと非常に分かりやすいので、このスライドを見ていただきたいと思います。
 

 

 

これは事業者、事業主向けに厚労省が解説をしている資料です。
見ていただきますと、今年令和4年4月、令和4年10月、そして来年の令和5年4月というこの三つの区切りがございます。
 
最初のゴールでいくと、「男性の育休取得率を大幅に上げたい」ということがあります。
なぜ上げたいのかは、また後半にお話をさせていただきたいと思いますが、まずひとつここにゴールがあるということです。
 
ではこの取得率をただいきなり公表するといっても、女性は産休・育休をきちっと取得しているけれども、男性ではまだ育休を取る人が出ていない、全体から見るとまだまだ少数ですよという企業がほとんどなのです。
そういった段階で急に公表と言われても非常に難しいです。
 
ですので、3段階のステップを踏んで公表に至る道筋をつけましょうというのが、実はこの法律の改正のひとつ大きなテーマになっています。
 
今年の4月ですけれど、見ていただきますと、左側に①「周知・意向確認義務」とございます。
これはどういうことかと言いますと、まずは事業主から従業員に、「あなたは育休取れますよ」ということを適切にきちっと周知してください。そこで研修をしていったり、相談窓口を設けたり、さまざま事例を発表したりということをしていってください。まずこれがスタートラインですよと。
 
そしてそれを進めながら、今年の秋、先月になりましたけれども10月1日に制度をきちっと取りやすいものに変えていきますよと。これも後ほど簡単にご紹介させていただきます。後ほど配られる資料にかなり詳しく載っていますのでご覧いただきたいのですが、実際この産後パパ育休制度を分割して取っていく仕組みが2段階にわたって付与されていきます。
 
これによって柔軟で、かつまたある程度仕事もしながら取れるようになります。これは労使協定等必要ですけれども、そういう中にあって取れるような仕組みというものが法律上もしっかりできてくる。こういうものを運用していき、それをさらに半年進めていった後に取得率の公表をしていきましょうね、と。この流れで男性の育休をしっかりと進めていきたいということです。
 
今日は経営者の方だけではなく総務・人事関係の方々もいらっしゃると思いますが、皆さんは急ピッチで社労士さんにご相談されたり、厚労省や労働基準監督署を含めさまざまな機関が主催する説明会等に参加をされて、就業規則を変えていらっしゃると思うのです。
 
今日のひとつの大きなテーマとしては、制度はあっても公表にとなると、そこに至る風土がなかなか根付いていかないということなのです。例えば、就業規則はつくりました、しかしそれをどう運用していくのかというと、風土を変えていかなければならないのです。経営者の意識、管理職の意識、取得する人の意識、またその周りで一緒に働く人たちの意識をどう変えて、またマネジメントしていただきながら組織を回していくのかが非常に大事なポイントになります。
 
今日は、今お話をした制度ももちろん触れていきますけれども、どちらかというと風土という点に絞っていくつかお話をさせていただきたいと思っております。

それでは資料の方を戻してまいります。こちらの資料をご覧ください。
 

 

これは『男女共同参画白書』から持ってきている資料です。
今日はデータまでわざわざ持ってはきませんでしたけれども、そもそも育休希望者、若い層の男性の育休取得意向というのは非常に高くなっています。ご興味ある方は日本生産性本部さんのデータを検索されると、「自分に結婚して子どもが生まれたら育休取得したい」という意向が80%を超えていることがご覧いただけます。
 
そこを補完するかたちではありませんけれども、今出ているのは日本国内における共働き世帯数の推移を表しています。

ご覧いただいている通り、ブルーの右肩上がりのラインが共働き世帯、ピンクの右肩下がりというのが男性の雇用者と無業の妻からなる世帯になり、いわゆる専業主婦世帯です。こう見ていただくと、非常に乖離(かいり)をし始めています。平成2年ぐらいからポイントが重なって、そこからどんどん開いています。
 
これはバブルの崩壊によって男性の平均賃金が下がり、また女性の就業率が上がっていくというのは、家計の中で共に働かないと家計が維持できなくなってきていると思います。
 

 

 

さらに直近のデータまでお持ちすると、ここまでです。これが本年出た『男女共同参画白書』ですけれども、見ていただきますとさらにその差が広がっています。多くの世帯の中、ご夫婦になっている世帯では、共働き世帯数が非常に増えているという現状があるわけです。
 
今の基本的な考え方としては、「共に働き、共に育てる」。子育て世帯だったらそういうかたちになってきています。育児介護休業法ということで、これは実は介護もセットになっています。今日は介護についてはほとんど触れませんが、一つ興味深いデータが今年出ていますのでそれもお出ししたいと思います。
 

また、介護の担い手となっているのは誰かというのを、『国民生活基礎調査』で厚生労働省が調べています。

これを見ていただきますと、データ的に非常に下がっている項目があります。
この右肩下がり、約30%だったものが13.2%まで下がっていますが、誰か。
 
これは「義理の娘」と書いてありますが、いわゆる結婚をしたその義理の娘が、夫の両親の面倒を見ることがほとんどなくなってきているのです。これはどういうことかと言うと、自分の親は自分で見ていきますよという感覚になってきているということです。もちろん、自分の子どもも一緒に育てていくという差が出てきています。
 
これにはいろんな要因があり、核家族化になってきて親族の数が減ってきているような現状から、自分の親は自分で介護していくという背景も見えてきています。
 

では、男性の育休取得率の推移ということで見ていきます。
 
実は今、国家公務員は50%を超える勢いで取得率が非常に進んでいます。これはやはり「隗(かい)より始めよ」ということで、国を挙げて男性の育休取得率を進めていきましょうとなっています。こういうふうに見ていただきますと、民間企業はまだまだかなというふうにも見えるかもしれませんけれども、民間企業もここのところ変わり始めていて、国としては13.2%というこの数値をもっと上げていきたいと考えています。
 

 

しかしながら、やはりワークライフバランスという考え方は、まだまだ日本の中では男性が外で働き、女性が家事・育児や介護をしていくことでこの分担がうまく進んでいない現状もあります。この辺の資料はまた後ほどお配りする物の中にありますのでぜひご覧いただいて、介護の数がどのぐらい進んでいるのか等々またご覧いただければと思います。
 

続きは、「育児介護休業法改正ポイントをわかりやすく解説!マネジメントに求められる意識改革とは」【2】徳倉康之氏セミナーアーカイブをご覧ください。

〔参考文献・関連リンク〕

 

初出:2026年04月16日

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