当記事は、弊社が過去に開催したオンラインセミナー「組織改善Week」より西岡徹人氏の『働きやすさと働きがいを両立する組織改革のすすめ』を書き起こしたアーカイブレポートの再編集です。
(当アーカイブは、該当セミナーを4回に分けてお届けしています。なお、講師の先生方の肩書などについては講演当時のものです。)
ノー残業デー、子連れで勤務可能なカンガルー出勤、キッズスペース等、広まり始めた「女性のライフキャリアステージにあった環境作り」に力をいれ、岐阜県ワーク・ライフ・バランス推進企業として認定されるSUNSHOW GROUP・ 三承工業株式会社。
しかし、「かつては、生きがいも、やりがいも、働きがいも、まったくない持続不可能な経営をしていた」 と、代表の西岡徹人氏は語ります。
では、「働きやすさ」と「働きがい」のために会社をどのように変えていったのか?男女共同参画が難しいとされてきた建設業で、女性活躍推進、働き方改革、SDGs推進を実現した経緯と取り組みをおうかがいします。

西岡氏:
皆さま、こんにちは。ただいまご紹介にあずかりました、SUNSHOW GROUPの代表を務めております、西岡徹人でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
本日のお題は「働きやすさと働きがいを両立する組織改革のすすめ」ということで、お話をさせていただきます。

本日は3章構成でお話させていただきます。
まず、「1.社内環境の整備(働きやすさ)」についてです。風土改革、女性活躍、働き方改革についてお話しします。次に、「2.持続可能なビジネスモデル(働きがい)」について「貧困をビジネスで解決する」「国や人の不平等をビジネスで解決する」の2点からお話しします。
最後に、取り組みのポイントということで、まとめのお話をさせていただきたいと思います。

その前に、少し弊社についてお話をさせていただきます。
弊社はSUNSHOW GROUPと申しまして、三承工業株式会社、バリュークリエイション、D&I、RIZEなどエネルギー系の会社のほか、DX推進や農業の会社も経営しております。
その他、一般社団法人を立ち上げておりまして、後ほどこちらについてもお話しをさせていただきます。
所在地は岐阜県岐阜市で、創業24年目になります。社員数は約60名、そのうち半数以上が女性です。主な事業は、新築工事、土木工事、外構工事、管工事でございます。

経営理念は「全ての皆様に感謝の心で愛情と想いやりのある人・物創り」で、特に人づくりを大切にしています。この経営理念を全ての基盤といたしまして、「社会の課題を解決する」という経営戦略を中核とし、さまざまな社会課題解決ブランドを作らせていただいております。

これが功を奏しまして、2018年、外務省第2回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞させていただきました。
中小企業は約380万社あり、その中で建設業許可事業所は48万社ございますが、建設業においては唯一弊社だけが賞をいただけています。この賞はカテゴリーが3つあったとうかがっております。
一つ目が「100年以上続いている企業」、二つ目が「環境課題を解決している企業」、そして三つ目が「社会の課題を解決している企業」とのことで、このうち弊社は「社会の課題を解決している企業」ということで選んでいただきました。

また、受賞したポイントとして、特筆すべきことが2点あると評価していただきました。
一つ目が社内環境の整備、二つ目が持続可能なビジネスモデルです。この2点について本日はお話をさせていただきたいと思います。

SUNSHOW GROUPの歩みについてお話しいたしますと、2012年から風土改革、女性活躍、働き方改革を進めてまいりました。まず「働きやすさ」として「社内環境の整備」を行いました。そして2018年から2022年現在に至るまで、「働きがい」を高めていくための「持続可能なビジネスモデル」に取り組んでいるところでございます。

さて、風土改革をする2012年まで弊社がどんな会社だったかをお話させていただきます。
特にスライドに挙げた項目の「5.離職率」ですけれども、以前は53%という非常に厳しい会社でございました。しかし2022年には環境が改善され、女性スタッフの割合が56%以上となり、現在では58%が女性です。
外国人スタッフも10%にまで増えました。産休・育休取得後の職場復帰率も100%になりました。カンガルー出勤については後ほどお話をいたしますが、こちらも65%となりました。そして、なんと離職率は1.6%まで下がったというところでございます。

さらに社員数、役員・社員年収、売り上げを見ていきますと、まず社員数は約3倍となり、役員・社員年収も1.35倍~2倍と増え、売り上げも4倍になりました。
まずは「働きやすさ」、そして「働きがい」へと変えていったおかげでさまざまなものが成長しているところでございます。

先ほど私自身も一般社団法人を立ち上げた、と申し上げたのですが、現在、約20団体を立ち上げております。このことについて少し簡単にお話しさせていただきます。
一般社団法人SDGsマネジメントにおきましては、外務省と連携し、代表理事にサンリオピューロランドの代表取締役、小巻亜矢さんに就任していただいております。ほかにも私自身は現在、日本政府の「次世代のSDGs推進プラットフォーム」の代表や内閣府、厚生労働省などの事業の委員を務めさせていただいており、2012年からは考えられないほどの成果を出すことができているところでございます。
ここまでお聞きいただくと「なんだ、自慢をしに来たのか」と思われる方もいるかと思うのですが、実際のところそういった話をしに来たのではなくて、赤裸々に私が今まで取り組んできたこと、働きやすさと働きがいのためにどのように会社を変えていったかということを皆さんにお話をさせていただきたいと思います。

では、会社の変革について少しお話をさせていただきます。
私は岐阜県の関ケ原町というところで生まれました。工業高校の機械科出身で、ラグビー部に所属しておりました。先輩には、「海猿」に出演されている伊藤英明さんがいらっしゃいます。私は母子家庭で育ち、兄弟もおりすごく家が貧乏だったので、家計を助けるために仕事を色々としながら、就職して2年間働いてから独立に至りました。
最初に何をしたかと申しますと、岐阜県というのは川が結構多いので、ラグビー仲間と川沿いの草刈りを請け負う会社を8月に創業しました。しかし、冬になると刈る草がなくなり仕事がないため倒産寸前に陥ってしまったという、ちょっと訳の分からない経営者だったと、振り返って思うところでございます。
仕事がなくなってから手掘工事を請け負い、そこから鉄筋工事などさまざまな職歴を経て、自分自身も少しずつ変わっていきました。
しかし、振り返ると、スライドのこの黒で囲んだ業務には、「働きやすさ」や「働きがい」というものは、まったくありませんでした。3次下請け、2次下請けでしたので、元請けから色々と言われますし、単価もめちゃくちゃ安いです。当時の私の夢は「いつか元請けになるぞ」と描く一方で、創業からの10年は非常に困っていた状況でした。
その10年がどんな会社だったかと申しますと、非常にひどい会社でした。いわゆる超ブラック企業です。今の言葉を使いますと、「ハラスメントの総合商社」と言われていて、アルハラ、モラハラなど何でもありの会社でございました。

具体的な話として、建築事業部の向かいの部屋に土木事業部の部屋があったんですけれども、この部署間でいつもいがみあっていて、けんかが勃発してしまうほど風土がすごく悪い状況でした。
そこで、「けんかをするな」ということで、隔てていた両方の壁を壊してのこぎりで切りました。その様子を当時の女性スタッフが写真に撮って、「社長が頭おかしくなっています、会社に戻ってこないでください」ということを(他の社員に)メールで送ったくらいでした。
他には、現在は建築事業部の岐阜支店支店長で営業トップの社員はもともと基礎工事事業部にいた社員で、このスライドの右上に書いてあるように朝6時から夜中の2時まで普通に仕事をしていました。そんな超ブラックな会社でございました。
こちらの写真は当時の会社全体の風景で、真ん中が私です。本当に男ばかりのイケイケの会社でした。しかし会社の風土はものすごくブラックで、持続不可能な経営をずっとしていました。生きがいも、やりがいも、働きがいも、まったくないような会社でした。
今から思えばとても恥ずかしいのですが、当時、私が抱えていた経営課題にはどんなことがあったかと申しますと、まず社長がいないと会社が回らないと私は勘違いしていました。それから、ノルマ至上主義で、社内の人間関係はものすごく悪かったです。社内の風土は悪く、当事者意識も皆なく、主体性もまったくありませんでした。社員さんやスタッフの仕事のモチベーションはものすごく低く、生産性も低く、利益がまったく出ない体質でした。また仕事に誇りを持てずやりがいを感じていないとか、会社に対して信頼感がまったくないので、社外に社内の問題を発信しては文句ばかり言っているような人たちがたくさんいました。
実際には私が悪かったのだということに気づいたのは、もう少し後でした。当時の私は「会社とスタッフは自分の駒だ」ぐらいに思っているような、非常に勘違いした経営者でした。
そんな時、私自身が「働きがいもやりがいもない会社を変えよう」と思ったきっかけがありました。
そのきっかけとは何かというと、社員に行ったアンケートでした。1から30までのチェックするリストがありまして、それぞれに対して1から5まで、1番が「ぜんぜん駄目」、3番が「普通」、5番が「大変素晴らしい」というように皆さんにチェックをしてもらいました。「だいたい、3から5ぐらいで書いてきてくれるだろう」と思っていたら、アンケート結果を見て驚愕しました。1と2しかなかったんです。
さらには、「会社に対して何かをお伝えしたいことはありますか」というのが最後の質問だったんですけれども、それ見ていくと「社長の関西弁がムカつく」とか「社長の顔がムカつく」とか、「社長の運転の仕方がムカつく」とか……僕の悪口ばかり、めちゃくちゃたくさん書いてあるんですよね。先ほど皆さんに見ていただいた通り、社員はあれだけしかいなかったので、筆跡を見たらだいたい誰が書いたか分かるので、一人ずつ「これを書いたのはおまえか」と言いにいこうかと思ったぐらい、非常に悔しい思いをしたのが当時でした。
この結果を講師の先生に見せて言われた言葉が「あなたは、誰も幸せにしていない」でした。これはもう、非常に苦しい言葉でしたが、こんな言葉を突きつけられたわけですね。
これはどういうことかというと、先ほど弊社の経営理念を「全ての皆様に感謝の心で愛情と想いやりのある人・物創り」と言っていたんですけれども、「社員さんが幸せじゃないのに、どうやってお客さんが幸せになるんですか」、さらに「お客さんの幸せがないのに、社会が幸せになるとか、国が幸せになっていくとか、そういうこと言っているあなたが、駄目なんじゃないですか、今の状況では駄目ですよ」と言われました。
そのことを、家に帰って家族にも伝えました。「『誰も幸せにしてない』と言われてん」と伝えたところ、「私もやで。今さら気づいたん?」と言われて非常にショックを受け、泣きそうになったのを今でも覚えております。

その講師の方にさらに言われたのが、「西岡さん、あなたは北風と太陽の話を知っていますか?北風がビュービュー風を吹かして、太陽はポカポカと温めて、旅人のマントを脱がそうとするんです。あなたはどちらのタイプだと思いますか?」と言われました。
私は「もちろん太陽だと思っています」と話したところ、「現状把握がまったくできていませんね、このアンケート結果と一緒です。西岡さんはもう少し考え方を変えたほうがいいですよ。西岡さんは、このアンケート結果から見ると北風で、トップダウン、ハラスメント、コミュニケーションが不足しているので、社員さんは『あれしろ、これしろ』と言われて、結果、当事者意識がなく、主体性のない社員さんが育っていますよ」と言われました。また、「あなたの会社の風土はどんな感じかというと、イメージするとカチカチのコンクリートのような風土を、あなたはつくっているんですよ」とも言われました。
「かたや反対側の太陽はどうかというと、ポカポカと温めて、ボトムアップ、コミュニケーションの量と質を上げ、補完関係をつくって、皆がやりがいと主体性を持って頑張っているような企業です。こちらの会社の風土はどういうものかというと、なんでも頑張って動けるような豊かな土壌がつくられている」ということでした。
「西岡さん、カチカチのコンクリートの中に、どれだけ素晴らしい種や苗を入れたとしても、そこに決して根はつきませんよね。逆に言えば豊かな大地に、どれだけ貧相な種と苗を入れたとしても、しっかりと根はついて作物は育っていきます。種がビジネスモデル、苗が人間だとしたらどうでしょうか。西岡さんのところは、どれだけ素晴らしいビジネスモデルを持っていても、根はつかないですし、花が咲きもしない。さらには入ってきたよい人材さえも腐らせていってしまう。西岡さん、この豊かな大地に変わっていくべきですよ」というコメントをいただきました。
そこからですね。働きやすさ、働きがいというものを追求するようになって風土改革を行なっていきました。
続きは、「働きやすさと働きがいを両立する組織改革のすすめ」【2】(西岡徹人氏セミナーアーカイブ)をご覧ください。
| 初出:2023年03月17日 |




















