ストレスチェックとは?基本・必要な情報をまとめました!人事労務担当者のための“ストレスチェック虎の巻2024”【基本編】

2015年より、健康診断と同じく企業の義務となったストレスチェック。
50人以上の従業員がいる事業場は、毎年1回、必ず実施しなければなりません。
 
ストレスチェックは効果的に活用すれば、離職防止やエンゲージメントを高めるための対策など、職場環境改善につなげることができます

その前に……
「そもそもストレスチェックって何だっけ?」
という人事労務ご担当者の皆さまは、まずは当記事に目を通してみてください。
 
“ストレスチェック虎の巻”【基本編】として、下記の3つのポイントにしぼり解説します。
  

<ストレスチェックを効果的に活用するための3つのポイント>
①そもそもストレスチェックとは?<目的を知る>
ストレスチェック<準備・実施の流れを把握>
③ストレスチェック<実施後の対応と集団分析の活用>

 
基本的なことはすでに知っていて、ストレスチェック実施の流れを知りたい方、衛生委員会などを通して具体的に準備を始める方は、“ストレスチェック虎の巻”【手順編】も併せて参考にしていただければと思います。

 

ポイント①:そもそもストレスチェックとは?<目的を知る>

ストレスチェックとは?何のためにするの?

働く環境や社会の変化にともなって、職場の安全は「事故の危険や身体的な負担」だけでなく、仕事のストレスなどからくる「心理的な負担」にも配慮が求められるようになりました。
労働者の「心理的な負担による精神疾患」が原因の労災認定が増えてきたことなどがきっかけとなり労働安全衛生法が改正され、2015年12月より、常時使用する労働者数が50人以上の事業場ではストレスチェックを年に一回実施することが義務づけられました。( 「常時使用する労働者」には、契約社員、パート、アルバイト、派遣労働者も含まれます。)
 

ストレスチェックは、
・労働者が、自分のストレスの状態に気づき、メンタルヘルス不調を未然に防ぐこと
・事業者が、ストレスチェックの結果をもとに職場の課題やストレスの原因を分析することで、職場環境改善につなげること

を目的とした、「心の健康診断」です。

 
「仕事について」「心身の状態について」「周囲との関係について」の3つのテーマに分けられた質問に答えることで、全国の労働者のストレス状態と比べて、自分がどれくらいストレスを感じているのかを知ることができます。
 

ポイント②:ストレスチェック<準備・実施の流れを把握>

「実施者」「計画・規定」「対応」を決めよう!

ストレスチェックは、従業員が50人以上になると実施が義務となります。50人未満の事業場は努力義務ですが、実施することが望ましいとされています。
実施の内容や期間、対象者や高ストレス者の基準は企業の判断に任せられます。つまり「実施の主体は企業」です。
 
厚生労働省から実施に関する詳細や質問文などが掲載されたマニュアルや指針は発表されていますが、実施に必要なことは衛生委員会(安全衛生委員会)で労使、産業保健スタッフと協議して決める必要があります
 

<衛生委員会で決めておくこと>
実施スケジュール、受検対象者、使用する質問紙、説明方法など
実施者・実施事務従事者・面接を行う医師など、ストレスチェックに関わる担当者
高ストレス者の範囲や判定方法
高ストレス者への対応について
ストレスチェックの結果の保存方法
外部委託をする場合、業者が提示する方法で問題はないかの検討
「集団分析」実施の有無


なお、ストレスチェックの実施は事業者の義務ですが、労働者には「受検の選択権」があります。労働者はストレスチェックがどういうものか説明を受ける権利、 受検するかしないかを自分で選択する権利があるのです。

しかし、受検者が少ないと正しい結果が得られなかったり、個人が特定されてしまう恐れが出てきたりするなど、効果的な活用は難しくなってしまいます。そこで、衛生委員会で話し合い、可能な限りすべての労働者が安心してストレスチェックを受検できるよう、方法の説明や勧奨を行うことが求められています。
 

■実施スケジュールに関する詳しい記事:

 
■衛生委員会に関する詳しい記事:

 

ストレスチェック「実施者」は“国家資格”が必要!

まずはストレスチェックの「実施者」や「実施事務従事者」を選び、実施体制を整えましょう。
ストレスチェックはさまざまな場面で専門的な知識が求められます。質問が妥当か、誰が高ストレス者に当てはまるか、職場環境改善に必要なデータとは何か……心と身体だけでなく多方面にわたる幅広い知識が必要。そのため、企業に義務付けられているストレスチェックには国家資格をもった実施者の選任が必要です。実施者となることができる資格は以下になります。
 

  1. 医師
  2. 保健師
  3. 厚生労働省が定める検査を行うために必要な知識についての研修を修了した
    歯科医師、看護師、精神保健福祉士又は公認心理師
    (※平成30年8月9日に歯科医師及び公認心理師が追加されました)

(参照: 労働安全衛生規則第五十二条の十 )
 

社内のストレスチェック担当は「実施事務従事者」

「実施事務従事者」とはストレスチェック実施者の指示のもと、実施する企業の中で事務やストレスチェックに関わる業務や連絡を執り行う人を指します。社内にストレスチェック実施者の事務作業を補佐する「実施事務従事者」を設けることで、段取りや通知・書類の配布が格段にスムーズになります。

実施事務従事者の業務は、実施者と同様の個人情報を取り扱うものもあります。そのため、実施事務従事者にはいくつか守らなければならない要件が定められています。
 

  • 人事権を持つ立場の人は携わることはできない。
  • ストレスチェック実施者と同様に守秘義務があり、実施後もストレスチェックに関して知りえた情報は漏らしてはならない。
  • 実施事務従事者は誰なのか公表しなくてはならない。

 

逆に、実施事務従事者以外の人は、ストレスチェックに関わる事務作業を行うことはできません。これはストレスチェックの結果が人事や昇格に影響を与えることで労働者が正直に回答できない事態を防ぐためです。
 
■実施者・実施事務従事者に関する詳しい記事:

 

ポイント③:ストレスチェック<実施後の対応と集団分析の活用>

やりっぱなしにしないために…実施後のポイント

<結果の通知>
ストレスチェック実施後、実施者は調査票の内容をまとめ、労働者個々人の結果の評価を行います。集計・評価された個人結果は、「要配慮個人情報」として本人以外が見ることができない形式で直接通知されます。
 
また、個人結果がわからないよう部署ごと・職種ごとといった集団の結果を抽出し、傾向と状況を分析したものを「集団分析」といいます。企業や人事権のある方はこの「集団分析」をもとに、現在の従業員が置かれているストレスの状況や傾向を把握し、職場環境改善に対策を講じることが推奨されています。(努力義務
 
<高ストレス者への対応>
ストレスチェックの結果、「高ストレス」と判断された従業員に対しては、
・自分の結果が高ストレス者にあたること
・医師の面接が受けられること、その必要性

が結果と合わせて通知されます。

この医師との面接を面接指導と呼びます。事業者は実施後からおおむね1か月以内に対応を行う必要があります。
「高ストレス者」であると通知された従業員が面接を希望する場合は、労働者自ら申出を行わなければなりません。
 

■面接指導に関する詳しい記事:
”ストレスチェック虎の巻”ーストレスチェック後に行う「高ストレス者」面接指導とは?
 

 

<個人情報の取り扱い>
ストレスチェックに際しては個人情報の取り扱いに注意しましょう。
ストレスチェックの結果は健康診断の結果と同様に「要配慮個人情報」として取り扱われます。「本人の同意がなければ公開されない情報」ですので、同意が得られない場合、原則として事業者に提供できません。実施中も実施者・実施事務従事者だけが閲覧できるよう、保管方法の配慮が必要です。
 
また、ストレスチェックの結果は実施後5年間の保存が義務とされています。
事業所内で記録を保存する場合、同意がない情報は社内でも実施者・実施事務従事者以外が閲覧できないような工夫(パスワードやロックをかける・別所に保管する)が必要です。
なお、外部委託する場合は委託先の機関が保存を行なっても問題ありません。保管期限や期限が終了した後の対応、情報の削除方法について実施終了前に話し合っておきましょう。
 

<労働基準監督署に報告>
ストレスチェックと高ストレス者の面接指導の実施結果は、労働基準監督署に報告しなければなりません。所定の様式『心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書』に記入し、毎年1回行います。ストレスチェック実施と労基署への報告はセットで覚えておきましょう。
 

■ストレスチェック結果の報告に関する詳しい記事:

 

 

 

集団分析を活用しよう!
ストレス要因と職場の傾向を分析して、職場環境改善に

労働安全衛生法上は、集団分析は努力義務ではありますが、一方で、ストレスチェックの目的のひとつに、事業者側がストレスチェックの結果をもとに職場の課題やストレスの原因を分析することで、職場環境を改善し、働きやすい職場づくりにつなげることが掲げられており、これによりメンタルヘルス不調を未然に防ぐことに効果があるとされています。
 
つまり、ストレスチェックを実施して「その結果を部署ごとやグループごとに分けて分析することで、職場環境改善に活用してくださいね」ということが本来の目的なのです。
 
部署や課、グループなど一定規模以上の集団ごとに集計・分析を行うことによって、改善すべき問題点が見えてきます。どの集団が、どういった状況でストレスにつながっているのか、「高ストレス」と判断された従業員がどのくらいいるのかなどを把握することにより、離職防止やワークエンゲージメントを高めるための対策に活用することができます。ただし、少人数の集団では個人の特定につながるおそれがあるため、集団分析の対象者・グループの人数は、原則10人以上に限るとされています。
 

■集団分析の作成方法と見方に関する詳しい記事:

 
健康診断と同じく、毎年行わなければならないストレスチェック。
やりっぱなしで終わるのではなく、集団分析を活用してよりよい職場づくりにつなげましょう。


以上、ストレスチェックを効果的に活用するための3つのポイントについて、お伝えしてきました。
なんとなく、イメージは掴めましたでしょうか?ストレスチェック実施準備の手順や、詳しい説明は各リンク先の記事で解説していますので、それぞれ必要な情報の確認の際にお役立ていただけますと幸いです。
 

ストレスチェックのお悩みは、
まずは情報基盤開発にお問い合わせください!

おかげさまで、2023年単年度の導入実績4,600社・125万人!

厚生労働省マニュアル準拠、実施者代行や医師面接代行、産業医紹介等のオプションサービスも豊富な「ソシキスイッチ ストレスチェック」(旧称 AltPaperストレスチェック)のご利用を是非ご検討ください。

下記のフォームから最新の「ソシキスイッチ ストレスチェック」のサービス案内資料をダウンロードいただき、ご不明点等ございましたらお気軽にお問い合わせください。

 

 

〔参考文献・関連リンク〕

 

初出:2018年08月30日 / 編集:2024年10月01日

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