ストレスチェックの調査票、23項目版と57項目版、80項目版の違いはご存じですか?

常時50人以上の従業員が在籍する事業場では、ストレスチェックの実施が義務づけられています。
 
ストレスチェックは、労働者のストレスの程度を把握し、労働者自身のストレスへの気付きを促すとともに、職場改善につなげ、働きやすい職場づくりを進めることによって、労働者がメンタルヘルス不調となることを未然に防止すること(一次予防)を主な目的としたもの
 
法令で義務付けられたストレスチェックを「義務だから年1回実施」で済ませることなく、貴社内でどのように活用するか、という指針は立てられていますでしょうか?
 

職業性ストレス簡易調査票は主に3種類

ですが、ストレスチェックの調査票は「色々な種類があってわからない」「せっかく実施してもどう活用したらよいのかわからない」などという声もお聞きします。
 
厚生労働省は「職業性ストレス簡易調査票(57項目)」を用いて実施することを推奨していますが、基準となる「3つの領域(①仕事の要因、③心身のストレス反応、③周囲のサポート)」の質問項目(=設問)が含まれていれば、衛生委員会等での検討を踏まえて独自の項目を追加することもできます。もっとも一般的な「57項目」、これを簡略化した「23項目」、より職場環境改善に活用しやすい内容を追加した「80項目」の3種類があります。
 
近年では、ハラスメント対策や働きがいなどについての質問を盛り込んだ80項目版を使用する企業も多くなってきました。つまり、それぞれの事業場ごとに合ったものを選び、職場改善などに活用できる情報を集めて使い分けることができるのです。
 
そこで今回は、それぞれの違いや特徴について解説します。
 

 

一般的な「職業性ストレス簡易調査票(57項目)」

ストレスチェックの調査票でもっとも一般的に使用されているのは、「職業性ストレス簡易調査票(57 項目)」(厚生労働省推奨)です。
 
冒頭でもお伝えしたように、メンタルヘルス不調を未然に防ぎ、職場環境改善を目的とするストレスチェックは、最低限次の3領域を含むことが定められています。

 

①「仕事の要因」:職場における当該労働者の心理的な負担の原因に関する項目
②「心身のストレス反応」:当該労働者の心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目
③「周囲のサポート」:職場における他の労働者による当該労働者への支援に関する項目
労働安全衛生規則 第52条の9

 
具体的には、

①1つめの領域では、従業員の「仕事に関する要因」についての問いがあり、仕事の量や質、業務時間、業務内容について本人が感じていることを確認していきます。
 
②2つめの領域では、最近1か月の心身のストレス反応に関するチェックです。朝元気よく起きられるか、十分な睡眠をとることができているか、イライラした感情や不安な状態が続いていないかなど、心と身体の状態を確認していきます。
 
③3つめの領域では、周囲からのサポート状況についての確認です。上司や同僚に気軽に相談できる関係か、仕事仲間以外の家族や友人などに仕事について相談できる相手がいるかどうか、また家庭環境など困っている時にSOSが出せる状況かどうかなどをチェックします。

 

およそ5~10分程度で受検でき、職場のストレス要因と本人のストレス反応などを把握できます。
一方で、57項目版は従業員個人のストレス状態を把握し、メンタル不調を未然に防ぐことを目的として作成されているため、ストレスチェック実施後の結果を用いた集団分析による職場環境の改善には活用しにくいというデメリットがあります。
 

 

注目を集める「新職業性ストレス簡易調査(80項目)」

80項目あるストレスチェック調査票は、「新職業性ストレス簡易調査」と呼ばれます。一般的な57項目版に加え、仕事へのモチベーションや上司などからのハラスメント状況を調査する内容を盛り込んでいます。
 
ここ数年、この80項目版「新職業性ストレス簡易調査」がとても注目を集めています。
その理由として、パワハラなどのハラスメント対策と、業務に対するモチベーション強化やワークエンゲージメント向上にストレスチェックの活用が期待されている点が挙げられます。

職場におけるパワーハラスメントは大きな問題となっており、2019年6月に「改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)」が施行され、中小企業も2022年4月から対応が必須となりました。ハラスメントは、被害にあっている従業員本人やその周囲にも仕事の質やモチベーションの低下などの影響を与えることから、早急な対策が必要であるにも関わらず、対応が後回しになってしまうこともあり、深刻な問題につながりかねません。

そこで、ストレスチェックの調査項目に、上司のリーダーシップや評価、公正さなどが加わることによって、上司のマネジメント能力が適正かどうかなどを測定することが可能になります。
 
受検にかかる時間は10分程度と、57項目版と比べると若干長くかかりますが、職場環境改善への効果が期待できることから、健康経営を推進している企業などではこの「80項目版」ストレスチェック調査票を導入している例も多いようです。
 

集団分析で仕事に対するモチベーションの一歩先へ

「新職業性ストレス簡易調査(80項目)」では、上記のようなパワハラ対策やマネジメント能力を可視化することができるほか、さらに集団分析を行うことで、見えてくることがあります。
 
一般的な57項目版のストレスチェックの目的は、従業員個人のメンタル不調を減らす、起こさないようにする対策でした。これに対して80項目版では、個々の仕事の負担に加え、「自分で仕事をコントロールできる自由さがある(職場環境)と感じているかどうか」「安定した報酬が得られるかどうか」など、実施後の集団分析を通して、それぞれの状況に応じて対策を立てやすい、改善に活かしやすい設問が含まれています。
 
上記のような分析を自社だけで行うのは、多くの時間や知識を必要としますので、専門的な外部サービスを利用することがおすすめです。
 

 

ストレスチェック23項目版(簡略版)とは、どんな内容?

23項目版は、一般的な57項目版を簡略化したストレスチェック調査票です。

簡略版とはいえ、厚生労働省のページに掲載されており、ストレスチェックにおける「3つの領域」を満たしています。もともとは中小規模の事業場向けに作成されたもので、まずはストレスチェックの手始めに取り掛かりやすくなっており、従業員にとっては比較的手短に受けやすいかもしれません。
一般的な57項目版のテストにかかる時間が5分程度、80項目版では10分程度ですが、23項目版では、57項目版の約半分程の時間で受けられるため、皆が気軽に受検することができれば、未受検者への受検要求など、人事労務担当者の方々にとっては事務的な業務負担が少なくなります。
 
一方で、従業員の心身のストレス状況を把握するのには最低限の情報しか得られず、十分とはいえないでしょう。
 

ストレスチェックは、
23項目・57項目・80項目どれで受検するべき?

質問項目の数が多ければ得られる情報は多く、職場環境改善につながりやすくなります。
一方で、受検者の負担が増えることになるため、ストレスチェックの受検率を上げるには受検する従業員の負担も考慮しなければなりません。とはいえ、項目数が少なければ、従業員のストレス状態が見えにくく、ストレスチェックを活用した職場改善からは遠のいてしまいます。

どの項目を選択すればいいかわからない場合、まずは一般的な57項目版からスタートし、必要に応じて、ハラスメント対策やエンゲージメント向上など職場改善にも役立つ80項目版を検討してみるとよいでしょう。
 

ストレスチェックの項目は増やしたり減らしたりしても良い?

「3つの領域」を満たしている必要はありますが、ストレスチェックは、各事業場の状況に合わせて、設問を増やしたり減らしたりすることも可能です。また、自由記述できる欄を設けるなど、より従業員の状態を把握しやすい内容に変えることもできます。
 
ただやみくもに増やしたり減らしたりするのではなく、「3つの領域」を基本とした調査票を活用することにより、一定の科学的な根拠を得ることができます。また、項目の内容については、職場を取り巻く環境を考慮しながら実施者の意見を取りいれ、衛生委員会の審議にかけるなどし、状況に応じて臨機応変に対応しましょう。
 

 

ストレスチェックに向かない質問内容も

ストレスチェックは一定の科学的根拠があれば、項目の増減が可能だということが分かりましたが、ストレスチェックに向かない項目もあります。
 
ストレスチェックはメンタルヘルス不調の予防を目的としています。そのため、個人の性格を評価、調査するような性格検査や業務の適正を判断する適性検査は、ストレスチェック項目には向いていません。また、ストレスチェックは受検後の面接指導などのフォローが重要です。産業医や産業保健スタッフによる専門的なフォローが必要な内容もあるため、事業場内だけでは対応が難しい場合もありますので、慎重な対応が求められます。
 

ストレスチェックの項目は、事業場の状況や目的に合わせて選択

項目数が多ければ、それだけ従業員のストレス度を確認することができ、集団分析を的確に行うことで、よりよい職場環境の改善へとつながるでしょう。しかし項目数はただ多ければ良いというものではなく、受検する従業員の負担を考え事業場にあった項目数を選ぶことも大切です。また結果を有効に活用するため、集団分析の方法も重要ですので、自社の目的に合った外部機関のサポート・サービスを利用すると良いでしょう。
 
今回は、ストレスチェックの項目数の違いとそれぞれの特徴についてご紹介しました。

ストレスチェックはメンタル不調を防ぐ第一歩であり、従業員自身に自分のストレス状況を知ってもらうことからスタートします。そのため、ただチェックを受ければ良いというものではなく、従業員が自分の能力を活かしいきいきと働くことができる職場環境に改善していくことで、個々のパフォーマンスやモチベーションを高め、より会社全体の発展を促すことが期待できます。
 
外部サービスなどを利用しながら、自社に合ったストレスチェック項目を使用し、より良い職場環境づくりにつなげましょう。
 

ストレスチェック実施のお悩みは、
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厚生労働省マニュアル準拠、実施者代行や医師面接代行、産業医紹介等のオプションサービスも豊富な「ソシキスイッチ ストレスチェックPRO」(旧称 AltPaperストレスチェック)のご利用を是非ご検討ください。

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〔参考文献・関連リンク〕

初出:2022年09月26日 / 編集:2024年09月11日

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