健康経営優良法人2026の傾向と2027年度対策|認定を得るためのストレスチェック活用法(大規模法人部門)

例年3月は、健康経営優良法人の認定結果が公表される時期です。2026年度(令和7年度)の申請を終えられた企業の皆様は、その結果を待ちつつ、早くも次なる2027年度に向けた計画を考え始めている頃ではないでしょうか。

 

2026年度の認定審査において、大規模法人部門の充足要件(選択項目)が16項目中13項目以上から17項目中14項目以上へ引き上げられたことは、実務上の大きなターニングポイントとなりました。不適合が許されるのはわずか3項目だけ。この充足が必要な17項目には、ストレスチェックに関する項目も含まれています。

 

こうした審査基準の厳格化と施策の質を重視する流れは、2027年度認定に向けても継続することが予想されます。本記事では、この変化に対して健康経営の土台の一つであるストレスチェックをどのように活用し、次期認定に備えるべきかを解説します。

 

【 目次 】※各タイトルからページ内の該当箇所にスクロールします
大規模法人部門の区分と認定までの流れ(2026年度参考)
 中小規模法人部門の区分(従業員数・資本金基準)
 認定取得までの申請フロー
認定要件:必須項目と選択項目の一覧
不認定理由の分析とストレスチェックに関連する評価項目
 選択項目の注意点:ストレスチェックが認定取得の決め手になる理由
 形式的な不備による失点リスクの回避
主要な変更点と新設項目:ストレスチェックの活用例
 高年齢従業員の健康や体力の状況に応じた取り組み
 多様な健康課題への対応 ※プレコンセプションケアなど(新設)
 PHR(パーソナル・ヘルス・レコード)を通じたデータの一元管理
2027年以降のトレンドー実効性の高いPDCAサイクルの構築とストーリー作り
上位認定(ホワイト500・健康経営銘柄)に向けた評価のポイント
★「ストレスチェック業界平均値レポート2025」資料配布中!

 

 

 

大規模法人部門の区分と認定までの流れ(2026年度参考)

健康経営優良法人の申請を進めるには、まず自社が大規模法人部門の対象となるかを確認し、認定に向けたスケジュールを把握することから始まります。

※以下の基準やフローは2026年度の実績に基づいたものであり、2027年度は変更される可能性があります。準備にあたっては、必ず最新の調査票や事務局のポータルサイトをご確認ください。

 

中小規模法人部門の区分(従業員数・資本金基準)

業種区分従業員数(常時使用)
製造業・その他301人以上
卸売業101人以上
サービス業101人以上
小売業51人以上

 

認定取得までの申請フロー

・次年度の申請概要の固まった夏ごろから準備を開始

・経済産業省のポータルサイト「ACTION!健康経営」で申請用IDを取得

・ 調査票を入力(戦略マップのURL記載や誓約書の添付を含む)

・申請期限(例年10月ごろ)までに申請
という流れになります。

 

注意したいのが、大規模法人の場合は戦略マップ(またはそれに準ずる図)の一般公開が必須だということです。自社サイト等に掲載し、そのURLを調査票に記載する必要があるため、Webサイトの更新作業を含め早めに準備しておきましょう。詳しいスケジュールや手続きの詳細は、事務局ポータルサイトの申請についてをご確認ください。


 

認定要件:必須項目と選択項目の一覧

2026年度(令和7年度調査)より、大規模法人の審査基準は一段と厳しくなりました。評価項目数が17項目へ増えた一方、合格に必要な適合数も1項目引き上げられたため、「従来のように苦手項目を後回しにする」という余裕がなくなっています。

 

  • 通常の認定:17項目中 14項目以上(昨年:16項目中13項目)
  • 上位認定(ホワイト500):17項目中 16項目以上が目安
    ホワイト500は単なる適合数だけでなく、労働生産性(プレゼンティーズム等)の数値開示や、経営会議における具体的な意思決定プロセスといった人的資本経営の質がスコアリングに大きく影響します。そのうえで総合評価の上位500社に入る必要があります。

基準が14項目に引き上げられた今、記述の難易度が高い項目での失点を想定し、**体制さえ整えれば確実に1点が取れる項目(Q37:小規模拠点の実施など)**を確実に押さえることが、不認定を避けるための最優先戦略となります。
 
以下の認定要件をもとに、自社の現状を確認してみましょう。

  

 

 

 

不認定理由の分析とストレスチェックに関連する評価項目

直近の2025年度認定データを見ると、大規模法人部門で申請して不認定となった44法人のうち、3/4にあたる33法人は適合項目を満たせず落選しています。高度な戦略を立てる前に、まずは評価対象となる項目を丁寧に取りこぼさないことが、認定を得られるかどうかを分ける決定的な要因となりました。

 

選択項目の注意点:ストレスチェックが認定取得の決め手になる理由

2026年度より、メンタルヘルス対策の設問は「心の健康保持・増進に関する取り組み」へと名前が変わりました。これは予防から、一歩進んで従業員のいきいきとした働き方やパフォーマンスの向上をサポートすることへの期待の表れと言えます。この名称変更は、ストレスチェックが健康経営において「法令遵守」以上の戦略的価値を持つことを改めて示唆しています。

 

形式的な不備による失点リスクの回避

重要な関連項目についてご確認ください。
 

50人以上の全事業場での実施
認定の前提条件(足切り項目)です。50人以上の全事業場で実施し、労基署へ報告していることが必須となります。多拠点展開している大企業ほど、1拠点でも報告漏れがあれば法令遵守の観点から原則として不認定となる可能性が高いため、全拠点の状況を一元的に把握・管理できる体制が不可欠です。
 
小規模事業場への対応
現時点では50人未満の事業場におけるストレスチェックは努力義務ですが、2025年5月の法改正により、2028年頃までに全事業場での実施が完全義務化されることが決定しました(いわゆる2028年問題)。健康経営度調査では、法的義務の有無にかかわらず小規模拠点も含めて実施することで評価(1点)を得られます。ここを対象外にすると評価項目不適合(0点)となり、14/17という厳しい合格ラインの中で、自ら猶予を捨てることになってしまいます。
 
受検率の向上によるデータの信頼性確保
定期健康診断において100%の実施が求められているのと同様に、受検率もまた重要視されます。明確な数値基準はありませんが、受検率が低い状態(一般的に80%未満)では、分析データに偏りがあると見なされ、その後の改善アクションの説得力が弱まってしまいます。自動督促機能などを活用し、高い受検率を維持することは、全ての加点項目の土台となる客観的なエビデンスを揃えることに直結します。

 

  
定期健診100パーセントは、長期欠勤者や休職者が1人でもいると未達になりやすく、中小企業にとって最もコントロールが難しい項目の一つです。一方、50人未満のストレスチェックは、会社が実施を決定すれば「適合」させることが可能な項目です。健診項目の不確実性をカバーし、認定を引き寄せるために非常に重要なポイントと言えるでしょう。
 
2025年5月の法改正により、50人未満の職場でも2028年頃までにストレスチェックが完全義務化されることが決定しました。今のうちから実施に向けて準備しておくことは、認定取得に有利なだけでなく、将来的な法的負担を経営のメリットに変える手段となります。

 

 

 

主要な変更点と新設項目:ストレスチェックの活用例

2026年度から本格化した「高齢者対策」「プレコンセプションケア」といった項目は、次年度以降もさらに注目される領域です。従来の57項目版でも基本的な分析は可能ですが、新設項目対策としては、詳細な分析が可能な80項目版ストレスチェックの活用をおすすめします。

 

高年齢従業員の健康や体力の状況に応じた取り組み

定年延長が進む中、シニア層が健康で長く働き続けられる環境づくりは避けては通れない課題です。認定審査では、単に定期健診を行うだけでなく、加齢に伴う身体機能やメンタル面の変化を会社がいかに客観的に把握し、具体的な環境改善につなげているかが評価の焦点となります。

→80項目版では、57項目では把握しきれない仕事の意義や上司からの支援をより多角的に測定できます。また、例えば年齢層ごとのクロス分析を行うことで、シニア層特有の疲労感や身体的負担感を数値化して捉え、それに基づいた役割の見直しや研修といった根拠のある対策を講じることが可能になります。

 

多様な健康課題への対応 ※プレコンセプションケアなど(新設)

将来の妊娠・出産を見据えた健康管理(プレコンセプションケア)は、性別を問わず全従業員に関わる重要なテーマとして評価対象に加わりました。単に窓口を作るだけでなく、「なぜ自社にその施策が必要か」という理由付けが不可欠です。

→ 性別・年代別の詳細な分析により、「特定の層の将来不安が高い」「ワークライフバランスに起因するストレスが特定の年齢層に偏っている」といった傾向をデータで可視化できます。プレコンセプションケアは男性の育休取得促進やパートナーシップの理解とも深く関わるため、全社的な傾向をデータで示すことで、施策の妥当性を高く評価されるストーリーとして提示できます。

 

 
PHR(パーソナル・ヘルス・レコード)を通じたデータの一元管理

従業員がスマホ等で自分の健康記録を確認できる環境が評価されます。ガイドブックには「ストレスチェック結果のみを閲覧できるサービスは除く」と明記されており、健診結果等も含めて統合的に管理・活用できるアプリの導入がポイントです。心身のデータを一元化し、従業員自らが行動変容を起こせる仕組み作りが求められています。

 
 

 

 

2027年以降のトレンドー実効性の高いPDCAサイクルの構築とストーリー作り

現在の健康経営は、「施策があるか」ではなく「施策によって何が変わったか」が問われるフェーズにあります。2027年度認定に向けてもこうした流れが続くことが予想されるため、早期の数値化と改善プロセスの仕組み化が肝要です。

 

労働生産性の数値化とROIの検討

通常の認定は8項目で合格ですが、ブライト500は15〜16項目の適合が目安となります。後回しにしがちな食事、運動、シニア支援などの項目も改めて見直し、全従業員が何らかの恩恵を受けられる体制を整えることが前提条件となります。

 

【導入事例】製造業A社(250名)のケース

精密部品製造業のA社では、慢性的な離職率の高止まりとヒューマンエラーが経営課題でした。従来の57項目版では根本原因が漠然とした人間関係としか見えませんでしたが、80項目版を導入したことで、真の原因が指導層である中堅社員の裁量の低さと、育成業務に対する正当な評価不足にあることを特定しました。

 

  • 改善策: 指導担当者への指導手当新設/人事評価への育成貢献度の追加/指導マニュアルの標準化。
  • 効果: 離職率が半期で40%改善し、熟練者の稼働率回復により生産性が前年比8%向上。
  • 認定への寄与: この分析から改善、それに基づく利益貢献までの一貫したストーリーを申請書で数値として明示。ストレスチェックを義務から人材流出を防ぐ経営ツールへと昇華させ、初回申請で見事に認定を獲得しました。

 

上位認定(ホワイト500・健康経営銘柄)に向けた評価のポイント

大規模法人部門の上位認定を目指すには、形式的な要件の充足を超えた情報の透明性と一貫性のあるストーリーが求められます。
 
ご存じの通り、必須要件を満たすのはもちろんのこと、選択項目における高い適合率と、客観的なデータ開示が不可欠です。まずは、健康経営の目的を整理した全体図(戦略マップなど)を策定し、そこでストレスチェックから得られる指標(ワークエンゲージメントや職場の一体感など)を経営課題の解決にどう結びつけようとしているかを明文化することが鍵となります。
 
また、ホワイト500の認定要件として、プレゼンティーズム、アブセンティーズム、ワークエンゲージメントの3指標の実績値および測定基準のURL開示が必須とされています。さらに上位の銘柄選定においては、ROE(自己資本利益率)の高さや社外への積極的な情報開示がスクリーニング要件となる傾向にあります。こうした人的資本経営としての透明性が、選定における信頼を支える決定的な要素となります。
 
なお、ホワイト500選定において開示が必須とされるプレゼンティーズムやワークエンゲージメントといった人的資本指標は、弊社の80項目版ストレスチェックを用いることで、受検と同時に一括で測定・把握することが可能です。

 


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2027年度の準備のために
ストレスチェック業界平均値レポート2025」資料配布中!

今回は大規模法人部門における認定の傾向と対策について解説しました。合格ラインが14項目に引き上げられた今、自社の立ち位置を客観的に把握することが効果的です。
 
弊社では、今の健康状態を可視化し、次期認定に向けた課題を明確にするための「ストレスチェック業界平均値レポート」を無料配布しています。

14業界のストレスチェック項目別データを収録。自社の数値が業界平均と比較してどこにあるかを知ることは、より実効性の高い施策を打ち出すための強力な材料になります。ほか、メンタルヘルスアクションチェックリストを活用した事例なども掲載しています。
次期認定への備えとして、ぜひお役立てください。 

 

 

 

〔参考文献・関連リンク〕

 

初出:2026年02月03日

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