健康経営優良法人2026の傾向と2027年度対策|認定を得るためのストレスチェック活用法(中小規模法人部門)

2026年3月の認定企業発表を控え、健康経営への関心が高まっています。従業員の健康を経営課題として捉えることは、現在、企業の規模を問わず不可欠な取り組みとなりました。

 

人手不足が深刻化する中、従業員が心身ともに健康で働ける環境を整えることは、採用率や定着率の向上に直結します。経済産業省の調査(2023年)によると、認定企業の離職率は6.1%となっており、全国平均(12.1%)のおよそ半分です。一人ひとりの役割が大きい中小企業にとって、優秀な人材の定着は、組織の安定と持続的な成長を支える重要な要素といえます。

 

本記事では、2026年度の傾向を分析し、2027年度の認定をより確実にするための対策や、2028年の義務化を見据えたストレスチェックの活用法について解説します。

 

【 目次 】※各タイトルからページ内の該当箇所にスクロールします
中小規模法人部門の区分と認定までの流れ(2026年度参考)
 中小規模法人部門の区分(従業員数・資本金基準)
 認定取得までの申請フロー
認定要件:必須項目と選択項目の一覧
必須項目の注意点:不認定を防ぐ2つのポイント
選択項目の注意点:ストレスチェックが認定取得の決め手になる理由
主要な変更点と新設項目:ストレスチェックの活用例
さらにブライト500を目指すなら:上位認定への3つのポイント
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中小規模法人部門の区分と認定までの流れ(2026年度参考)

健康経営優良法人の申請を進めるには、まず自社が中小規模法人部門の対象となるかを確認し、認定に向けたスケジュールを把握することから始まります。

※以下の基準やフローは2026年度の実績に基づいたものであり、2027年度は変更される可能性があります。準備にあたっては、必ず最新の調査票や事務局のポータルサイトをご確認ください。

 

中小規模法人部門の区分(従業員数・資本金基準)

業種区分従業員数(常時使用)資本金または出資金額
製造業・その他1人以上 300人以下3億円以下
卸売業1人以上 100人以下1億円以下
サービス業1人以上 100人以下5,000万円以下
小売業1人以上50人以下5,000万円以下

 

認定取得までの申請フロー

・次年度の申請概要の固まった夏ごろから準備を開始

・経済産業省のポータルサイト「ACTION!健康経営」で申請用IDを取得

・調査票を入力

・申請期限(例年10月ごろ)までに申請
という流れになります。

 

注意したいのが、中小企業部門の場合は健康宣言への参加が必須だということ。これが申請のエントリーチケットとなるため、早めに準備しておきましょう。詳しいスケジュールや手続きの詳細は、事務局ポータルサイトの申請についてをご確認ください。


 

認定要件:必須項目と選択項目の一覧

健康経営優良法人2026では、中小規模法人部門の評価項目が15から17項目へと拡充されました。合格ラインも引き上げられましたが、選択肢が増えたことで、より自社の実情(女性活躍、シニア支援、DX活用など)に合った項目を選んで得点しやすくなっています。

 

  • 通常の認定:17項目中 8項目以上(昨年:15項目中7項目)
  • 上位認定(ブライト500):17項目中 16項目以上が目安
    ブライト500は、適合数に加え「フィードバックシートの開示」や「地域への健康経営の波及」といった独自要件を満たした上で、総合評価の上位500社に入る必要があります。

まずは必須項目をクリアした上で、17項目の中から自社が取り組みやすい8項目を戦略的に選ぶことが重要です。2028年の義務化を見据えたストレスチェックの先行導入は、確実に1点を確保するための有効な手段となります。
 
以下の認定要件をもとに、自社の現状を確認してみましょう。

  

 

必須項目の注意点:不認定を防ぐ2つのポイント

不認定理由として最も多い(9割を占める)のが、自社が加入している協会けんぽや健康保険組合が実施する「健康宣言事業」への参加漏れです。健康宣言とは、会社が従業員の健康づくりに注力することを公式に表明するプロセス。保険者から認定証や受付証明を受けることが、申請のための事実上の「参加チケット」となります。
 
また、もうひとつ重要なのが、具体的な推進計画の策定。「いつまでに何を達成し、誰が何を実施するのか」を文書化する必要があります。多くの企業がこの計画の具体性や目標数値(KPI)の不足により不適合と判断されており、取り組みの形骸化を防ぐための初期設計が課題となっています。

 

選択項目の注意点:ストレスチェックが認定取得の決め手になる理由

必須項目を満たしても、選択項目の適合数未達で不認定となる場合があります。2025年度では、不認定となった企業の多くが従業員の健康課題の把握に関する基準を満たすことができませんでした。この項目は、以下の3項目のうち2項目以上をクリアしなければなりません。
 

1. 定期健診受診率の実質100パーセント
2. 受診勧奨の取り組み
3. 50人未満の事業場におけるストレスチェックの実施

 
定期健診100パーセントは、長期欠勤者や休職者が1人でもいると未達になりやすく、中小企業にとって最もコントロールが難しい項目の一つです。一方、50人未満のストレスチェックは、会社が実施を決定すれば「適合」させることが可能な項目です。健診項目の不確実性をカバーし、認定を引き寄せるために非常に重要なポイントと言えるでしょう。
 
2025年5月の法改正により、50人未満の職場でも2028年頃までにストレスチェックが完全義務化されることが決定しました。今のうちから実施に向けて準備しておくことは、認定取得に有利なだけでなく、将来的な法的負担を経営のメリットに変える手段となります。

 

 

 

 

主要な変更点と新設項目:ストレスチェックの活用例

2026年度からは、「予防的アプローチ」と「多様な働き方」がより重視されています。
ストレスチェックをどう活用するかも併記していますので、参考にしてみてください。

 

心の健康保持・増進(名称変更)
メンタルヘルス不調への対応から名称が変更されました。予防という側面から、積極的に組織全体の活力を高める意味合いに。「なんとなく元気がなく、パフォーマンスが上がらない(プレゼンティーズム)」状態の蔓延は組織の活力を削ぐ要因となります。予防と増進をセットで評価することで、活気ある組織文化の醸成を促しています。

→ストレスチェックの集団分析を職場環境改善に活かし、従業員がいきいきと働ける環境を作る姿勢が、生産性向上の観点から高く評価されます。

 

育児・介護の両立支援(正式要件化)
これまで「適切な働き方の実現」の中に含まれていた内容が独立し、正式な評価項目となりました。中小企業において、育児や介護による突然の離職は大きなインパクトを及ぼします。「制度が用意されているか?」「利用しやすい風土が形成されているか?」は、健康経営の重要な条件と言えるでしょう。

→ ストレスチェックの結果を性別・年代別、雇用形態別など細かく分析することにより、ワークライフバランスが取りやすい職場かどうか、育児・介護などとの両立に不安を感じている層が集中していないかなど、課題を早期発見できる可能性が高まります。

 

高年齢従業員への配慮
人手不足によりシニア層の活躍が欠かせない中小企業では、高年齢従業員が安全に長く働ける環境づくり(エイジフレンドリー)が問われます。加齢に伴う心身の変化(体力低下や認知機能の変化など)を組織として正しく理解し、個々の状況に応じた柔軟な働き方を提示できているかが評価のポイントです。

→ ストレスチェックの結果を年代別で分析することで、ベテラン層特有の身体的負担感や役割の変化によるストレスを数値化でき、それに基づいた無理のない業務配置や環境整備(転倒防止対策など)を行う実効性の高いエビデンスとなります。

 
プレコンセプションケア(新設)
将来の健康やライフイベントを見据えたプレコンセプションケアに関する情報提供やウェビナー開催が、新しいトレンドとして追加されました。性別を問わず全世代に配慮した人生設計に寄り添う姿勢を示すこの項目は、若手人材の採用において大きなアピールポイントになります。

→ ストレスチェックで若手層の将来への不安やセルフケア能力を把握し、それに応じたウェビナー開催や情報周知を行うことで、施策の妥当性を証明するストーリーとして提示できます。

 
 

 

 

さらにブライト500を目指すなら:上位認定への3つのポイント

ブライト500と聞くと、何かものすごく難しい特別なことをしなければならない、というイメージを持つかもしれません。しかし、実際は決してそうではありません。通常の認定から一歩進み、上位500社を目指すために必要なのは、今取り組んでいる改善の幅を広げ、経営の質へと転換させていくことです。

 

1. 施策の網羅性を上げ、全社に浸透させる

通常の認定は8項目で合格ですが、ブライト500は15〜16項目の適合が目安となります。後回しにしがちな食事、運動、シニア支援などの項目も改めて見直し、全従業員が何らかの恩恵を受けられる体制を整えることが前提条件となります。

 

2. 従業員の「声」を拾い、PDCAを回し続ける習慣を作る

仕組みとしては、改善施策を網羅的にするだけです。どんな項目の改善をするにしろ、「従業員の声や傾向を拾う」→「データ分析する」→「改善施策を起こし、計測する」というPDCAの流れは変わりません。このサイクルを回し、会社全体で健康経営に取り組むクセをつけていくことが、組織の一体感を生む鍵となります。

 

3. 取り組みを社外へ発信し、認知を広げる

自社の取り組みを社外へ広めているかも問われます。自社サイトや求人票で実績を公開し、地域社会へ健康経営の価値を伝える姿勢を示すことで、企業の信頼性向上や採用面での差別化につなげます。こうした発信が、結果として地域を代表する企業としての評価を確かなものにします。

 

ストレスチェックをどう役立てるか

実は、上記の3点の改善にはストレスチェックが非常に有効な施策となります。全社を巻き込み、データを活用し、改善施策のヒントを得られるためです。まずは57項目からでも十分ですが、80項目版を活用すれば、ハラスメントやプレゼンティーズム(不調による生産性低下)などのより発展的な指標も確認できるため、最初から導入を検討してもいいでしょう。

離職による損失コストは1人あたり300万〜500万円とも言われており、メンタルヘルスを未然に予防し、数値の低い項目を改善していくのは、極めて合理的な職場環境改善の道筋といえます。

 


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2027年度の準備のために
ストレスチェック業界平均値レポート2025」資料配布中!

今回は大規模法人部門における認定の傾向と対策について解説しました。合格ラインが14項目に引き上げられた今、自社の立ち位置を客観的に把握することが効果的です。
 
弊社では、今の健康状態を可視化し、次期認定に向けた課題を明確にするための「ストレスチェック業界平均値レポート」を無料配布しています。

14業界のストレスチェック項目別データを収録。自社の数値が業界平均と比較してどこにあるかを知ることは、より実効性の高い施策を打ち出すための強力な材料になります。ほか、メンタルヘルスアクションチェックリストを活用した事例なども掲載しています。
次期認定への備えとして、ぜひお役立てください。 

 

 

 

〔参考文献・関連リンク〕

 

初出:2026年02月04日

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