新年明けましておめでとうございます。
旧年中はご愛顧を賜り、誠にありがとうございました。
本年もより一層のご支援、お引立てをいただけますよう、更なるサービスの向上に努めて参ります。
「withコロナ時代」は終わらない?
新型コロナウイルス感染症が今なお国内外で拡がりを見せています。
皆さまもご存じの通り、国内でも陽性者数の急増のみならず、重傷者数や死亡者数が過去最多を更新する無視できない状況が続き、東京・神奈川・埼玉・千葉の1都3県では緊急事態宣言が再発令されるなど、まだしばらくは “新型コロナ禍” が続く見通しです。
「withコロナ時代」「ニューノーマル」と向き合う覚悟を決めつつも、店舗・施設運営など対面型・来店集客型のビジネスに携わる方であればなおのこと、事態の収束を願わずにはいられません。
「疫病退散」を願って、記事冒頭の画像や「新年のご挨拶」動画で「赤べこ」を使いました。
昨年は「アマビエ」が話題になりましたが、今年の干支・丑年にちなみ、同じような意図で「赤べこ」を使用した年賀状が皆さまのお手元にもいくつか届いたのではないでしょうか。
不安の尽きない状況が続く中、皆さまのちょっとした息抜きになればと「赤べこ」伝説についてまとめてみました。

※画像出典 / Wikipedia「赤べこ」
「赤べこ」は疫病退散と復興のシンボル
今のように医療が発達していなかった古来、疫病の流行はすぐさま「死」につながるものでした。
疫病を含む厄除けは国内外のさまざまな宗教が発展・分化につながり、多様な民間療法や “願掛け” が国をまたいで各地に拡がったとされています。
「赤べこ」もその一つで誕生には諸説ありますが、赤く塗られていること、牛をかたどっていることは疫病退散への祈りが込められています。
会津・柳津町に伝わる「赤べこ」伝説

会津の民芸品として知られる張り子玩具「赤べこ」の「べこ」は牛を表す東北地方の方言ですが、福島県・柳津町(やないづまち)の円蔵寺(えんぞうじ)境内にある「開運なで牛」像にまつわる「赤べこ伝説」がその由来だとされています。
江戸時代初期の1611年9月(慶長16年8月)、会津盆地を震源地にした「慶長会津地震」が発生し、会津地方一帯の家屋が倒壊するなどして多数の死傷者が出たほか、山あいにあった多くの寺社も甚大な被害を受けたとする調査資料が存在するそうです。円蔵寺も被害を受けた寺社の一つで、震災後に本堂を再建する際、 荷役の黒毛牛が材木を崖上の現在地まで運べず村人が苦労していたところ、どこからともなく現れた赤毛の牛=「赤べこ」の群れが運搬を手伝い、震災から6年後の1617年(元和3年)に工事を終えると「赤べこ」の群れは姿を消してしまった、という逸話が伝えられています。
なでると願いが叶うとされる「開運なで牛」像は、その逸話にあやかって後に円蔵寺境内に建立されたといいます。

子どもの健康を願って作られた張り子の「赤べこ」
張り子玩具としての「赤べこ」がいつ頃から作られるようになったのかは、実は明らかになっていません。
戦国武将の蒲生氏郷(がもう・うじさと)が会津を治めていた天正年間(1573年~1593年頃)には既に張り子製作の下地が伝わっていたそうで、福を呼ぶ張り子の「赤べこ」もいつしか作られるようになったと考えられています。
張り子の「赤べこ」の身体に描かれた黒い斑点は、疫病・天然痘にかかるとできる「疱瘡(ほうそう)」を表しているとされてます。会津で天然痘が大流行した 江戸時代中期の1713年(正徳3年)、身代わりとして黒い斑点で疱瘡模様を描き入れた「赤べこ」を自分の子どもに持たせたら天然痘にかからなかったとして、地域に広まったのだとか。
上記のような背景から、「赤べこ」は福を呼ぶ象徴というだけでなく、東日本大震災の時には震災復興のシンボルとなり、新型コロナ禍においては疫病退散のシンボルとして注目を集めました。
「赤」+「牛」は疫病退散にご利益あり?
神社の朱塗りの鳥居や、五月人形や掛け軸に見られる魔除けの鍾馗(しょうき)を赤く彩色した疱瘡除けの「赤鍾馗」など、赤色は古来から魔除け・厄除けのシンボルカラーとして重宝されてきました。
また、疫病退散を願う祇園祭で知られる京都・八坂神社は、もともとは仏教に由来する「祇園社」という名称だったのを明治政府による神仏分離令から1868年(明治元年)に改称し、主祭神としていた牛の頭を持つ疫病神「牛頭天王(ごずてんのう)」は「てんのう」という名前が不敬に当たると神道ゆかりの「素戔嗚尊(すさのをのみこと)」にその伝承を置き換えたとされています。牛頭天王を祭神とする「天王(津島)信仰」の名残りは、愛知県津島市にある津島神社の「尾張津島天王祭」や全国各地の「天王社」の名称と見られ、八坂神社には「開運なで牛」像によく似た開運の「伏せ牛」像が多数あることでも知られています。
赤い牛をモチーフにした 「赤べこ」は、古くから疫病退散のシンボルとされて地域に残されてきたのかもしれません。
“願掛け” だけでなく、この機会に改めて感染症予防対策の徹底・周知を
“願掛け” は心にゆとりを保つ上でのメンタルヘルスケアの一手法ではありますが、新型コロナ禍によって引き起こされがちなメンタル不調のケアにも配慮しつつ、職場における最低限度の感染症予防対策は変わらず行っておきたいですね。
下記の記事などもご参考になれば幸いです。
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〔参考文献・関連リンク〕
- 島田裕巳『疫病VS神』(中央公論新社・2020年)
- 日本経済新聞:平穏な1年 赤べこに願う 震災復興・病魔払いの伝承、会津を研究 半世紀(2021年1月1日)
- 柳津観光協会:赤べこ伝説発症の地・会津やないづ
- 日本放送協会(NHK公式ホームページ):
福島NEWS WEB 丑年から寅年へ「丑寅まつり」12年に1度のまつり終了へ - 寒川旭(地質調査所)「慶長16年(1611年)会津地震による地変と地震断層」
- 熊本県畜産農業協同組合連合会:「あか牛」ってどんな牛?
初出:2021年01月05日 / 編集: 2023年01月08日 |