当社・情報基盤開発は2023年3月10日に実施しました、 労働者の身体活動を通じたメンタルヘルスの改善について研究されている北里大学講師・渡辺和広氏オンラインセミナーのアーカイブ配信を期間限定で行っています。
身体活動の促進は、抑うつ・不安の予防、改善に科学的根拠のあるアプローチとして知られています。
渡辺氏は今後、日々の健康状態のモニタリングと身体活動習慣の維持に役立つ可能性があるとして、「人工知能AI(深層学習モデル)」を活用したアプリケーションの開発を行っており、ライブセミナー当日にご参加された皆様との質疑応答を含め詳しくご案内いただきました。
〔関連セミナー〕
【12月22日(金)14時開始】職場のストレス対策効果検証:M-ORIONプロジェクト研究協力企業追加募集オンライン説明会
※再配信視聴を終了致しました
渡辺 和広 氏プロフィール
渡辺 和広
北里大学 医学部公衆衛生学 講師
日本産業ストレス学会 理事・事務局長
日本行動医学会 理事・広報委員長
2013年広島大学教育学部第五類心理学系コース卒業、2015年広島大学大学院教育学研究科心理学専攻臨床心理学コース修了、2018年東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻博士課程修了 (保健学博士)。日本学術振興会特別研究員 (DC1、2015年4月~2018年3月)、東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野助教を経て、2021年より北里大学医学部公衆衛生学講師に就任。 国のメンタルヘルスのプロジェクトを推進してきた川上憲人特任教授(東京大学大学院医学系研究科)や堤明純教授(北里大学)らと共に研究を進め、ワークエンゲージメント研究で著名な島津明人教授(慶應義塾大学)、ウェルビーイング研究で著名なマーガレット・カーン博士らとの共同研究にも参画。主な研究分野は職場のメンタルヘルスで、特に労働者を対象とした身体活動の促進を通じたメンタルヘルスの改善に関する研究を行っている。 共著に「Q&A で学ぶワーク・エンゲイジメントできる職場のつくりかた」などがある。 <受賞歴>※共同研究含む ・第29回日本行動医学会学術総会「優秀演題賞」受賞(2022年12月) ・第27回日本行動医学会学術総会「最優秀演題賞」受賞(2020年12月) ・日本行動医学会「第21回荒記記念賞」受賞(2019年12月) ・第23回日本行動医学会学術総会「第4回奨励賞」受賞(2017年03月) ・第22回日本行動医学会学術総会「優秀演題賞」受賞(2015年10月) ・Poster award for excellence The 3rd international symposium on phoenix leader education program (Hiroshima initiative) for renaissance from radiation disaster (2014年02月) |
上記のプロフィール欄にもあるように、渡辺氏は2019年に日本行動医学会の「荒記記念賞」や、同学術総会の「最優秀演題賞」など数々の受賞歴をお持ちのほか、川上憲人教授(現・東京大学大学院医学系研究所特任教授)のもとで2017年当時、世界的に人気を集めたスマートフォンゲーム 「ポケモンGO」を継続的にプレーした日本の労働者の心理的ストレスが減少したとして、世界で初めて科学的根拠のある検証を発表(イギリスの科学誌「Scientic Reports」、2017年9月7日号)した 研究者でもあります。
当講演では、就業中や通勤・在宅時の身体活動をモニタリングしながらメンタルヘルスとの関連性を探っていく スマートフォンアプリの活用についてもご案内いただきました。
人事・総務ご担当者のみならず、経営に携わる方、部下のマネジメントや組織改善にお悩みの管理監督者の方など、広くご参加いただきたい内容です。
M-ORIONプロジェクトとは
国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の「認知症等対策官民イノベーション実証基盤整備事業」に採択された、「組織的介入による多角的な職場のメンタルヘルス対策の効果検証を目的とするクラスター無作為化比較試験」の研究班(代表 北里大学医学部教授 堤明純)による産学連携プロジェクト名です。
当社・情報基盤開発も研究機関として参加しています。
介入としては以下の4種を検討し、それぞれの効果検証を行ないます。
- 労働者教育
既存の集合研修のノウハウを基に開発するITツールを用いて、労働者がジョブ・クラフティング※を能動的に実施できるようにすることで、ワークエンゲージメントとウェルビーイングの向上を図ります。
※ジョブ・クラフティング…
労働者主導で仕事に対する認知を変えたり、仕事のやり方や周囲との関わり方を工夫したりしながら、やりがいのある働き方を目指すプロセスです
- 管理監督者教育
既存の管理職教育に関するエビデンスを基に開発するウェブベースの管理職教育プログラムに、介入効果を高めるため新たに心理的安全性の概念に基づく部下への支援促進プログラムを追加し、心理的に安全なチーム形成を図ることで、部下に対して、より適切かつ効果的に業務面および心理面への支援ができるようにします。
- 職場環境改善
労働者がグループワークを利用して、職場の好ましい点、改善が必要な点を抽出し、職場改善項目の優先順位を定めて実際の改善活動に進む職場環境改善の手続きを進めるITツールを開発し、労働者参加型での職場環境改善を図ります。
- 身体活動向上
スマートフォンアプリケーションを開発して労働者の身体活動向上を図ります。加速度計を利用して労働者の身体活動パターンが取得し、深層学習を用いて翌日の労働者の抑うつ・不安を予測して必要なフィードバックとアドバイスを提示します。
参加者と類似した特徴を持つ労働者のグループの特定と提示を行い、メンタルヘルス改善のためのヒントを提示します。
これら効果検証は2023年秋にスタート予定で、ご協力いただける法人企業を現在募集しています。
M-ORIONプロジェクト参加協力企業募集に関するオンライン説明会の見逃し再配信も行っていますので、併せてご視聴いただけたらと思います。
● セミナー概要
視聴期限 | 2023年8月7日(月)18:00まで |
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演題 | AIで見えてきた 働く人の身体活動パターンとメンタルヘルス |
講師 | 渡辺 和広 氏 北里大学医学部公衆衛生学 講師 〔進行役・質疑応答〕 村上 大介(情報基盤開発 CMO) 吉田 憲吾(情報基盤開発 事業開発部長 / チーフアーキテクト) |
配信方法 参加費 | オンラインセミナー 〔 配信ツール 〕アーカイブ配信視聴 特設サイト 視聴無料 |
視聴方法 | オンライン説明会にご参加いただきアンケートにご回答いただいた皆さまへ、 案内スライド、ならびに関連セミナーのアーカイブ映像配信をご案内致します。 |
― 講師からの講演メッセージ ―
身体活動の促進は、抑うつ・不安の予防、改善に科学的根拠のあるアプローチとして知られています。人工知能による解析で、身体活動パターンと翌日の抑うつ・不安の水準の関係が分かってきました。
良い身体活動パターンとなるような実践を行うことで、メンタルヘルスの改善が期待できます。また、実際にどのように運動をしていくのが望ましいかも、具体例を交えて紹介していきます。
さらに、当研究室で開発を行っている身体活動とメンタルヘルスのためのアプリケーション「ASHARE」の紹介も行います。
当研究室では、労働者から取得された約3.5年分の身体活動データと就業状況から、翌日の抑うつ・不安の水準を予測する深層学習モデル (いわゆる人工知能) を開発しました。深層学習モデルは、参加者の毎日の抑うつ・不安の水準を76.3%の精度で予測し、特に精神的に健康な状態の予測は81.6%と比較的高い精度を示しました。
この深層学習モデルを実装したアプリケーションを労働者のみなさまに使っていただくことで、日々の健康状態のモニタリングと身体活動習慣の維持に役立つ可能性があります。
以下のアーカイブ配信視聴申し込みフォームを活用いただき、必要事項をご記入の上お申し込みください。
追って、当社担当よりセミナー視聴方法に関するご案内メールを送付いたします。
〔参考文献・関連リンク〕
- researchmap:渡辺 和広
- 日本行動医学会:日本行動医学会記念賞 荒記記念賞受賞者一覧
- 東京大学 医学系研究科 精神保健学/精神看護学 分野
渡辺和広助教が第26回日本行動医学会学術総会にて、第21回荒記記念賞を受賞いたしました。 - ITmedia NEWS:「ポケモンGO」は働く人のメンタルヘルスに好影響――東大調査
Medical Toribune:「ポケモンGO」で心が健康に
※Sientific Reports
Pokémon GO and psychological distress, physical complaints, and work performance among adult workers: a retrospective cohort study (2017)
※東京大学大学院医学系研究科
スマホゲームアプリ「Pokémon GO」は労働者の心の健康の保持・増進に有効(2017)
初出:2023年02月24日/ 編集:2023年07月18日 |