ストレスチェックの集団分析:集団分析結果を使った“職場の課題”の見つけ方

ストレスチェックの集団分析④:集団分析結果を使った「職場の課題」の見つけ方

ストレスチェックの集団分析をせっかく実施したのに
「分析結果が活かせていない・いつもの改善案しか出ない」
「改善案を立てたのに、なんだかみんなが非協力的・目標がいつも達成できない」

というご経験はありませんか?

集団分析をすぐ活かすためには、分析の方法だけではなく「比較」や「目標の立て方」にもちょっとしたコツが必要です。

今回は集団分析を職場改善案に上手に活用するために人事・労務ができる「まとめ方のコツ」をご紹介します。
 

 

ストレスチェックの集団分析は「比較」で活きる!
比較対象は「サイズ」と「属性」でチョイス

ストレスチェックの集団分析は、各グループを構成するメンバーのデータを集計して「グループの特徴」を知るために行います。

特徴をより詳しく知るためには、グループ同士の比較が欠かせません。比較を行う際の「比較対象のチョイス」に注意しましょう。

グループは参加した人数が大きいほど、その結果も「平均的」になります。分析を行ったグループをやみくもに総当たりで比較しても、傾向や特徴がどんな要因から発生しているのかが掴みにくくなってしまいます。

部署や課の職務内容が要因であればその他の職種も含まれる「全社」や「全国平均」との比較をすると、実行できない高い目標に設定してしまうことも考えられます。

また、特徴とその原因をうまくつかむためには「同じようなグループ」での比較がセオリーですが、 よく見知った部署同士で比較を行うと
「仕事の量の結果がいいのはあの部署だからだ」
「コントロールが良くないのはあの人がいるからだ」
と個人や部署の変えられない資質に原因を見つけてしまうことがあります。

集団分析の比較を行う時には、部・課であれば部門、事務職であれば事務部門、店舗であればその店舗のある地域……など自部署と同じ属性の「自部署の一つ上のサイズ」の集団と比較することをお勧めします。

自部署の傾向と特徴の要因、それがどれだけ優先的に改善しなければならないものかを「自部署が同じような業務を行っている部署の中でどのような立ち位置にいるのか」から掴むことができます。
 

ストレスチェックの集団分析を活かす改善策は
「2軸」の比較で見つけよう!

分析したデータから改善策を考える際、起きている現象だけに着目すると、どうしても対症療法を優先してしまう・根本的な改善に至らず努力で疲弊してしまう……ということがたびたび見られます。

苦しい現状を改善する・問題の本質を改善するための改善策が一つで済むとは限りません。本当に有効な改善策・改善を急がなければならない点を発見するには、要素ごとに比較することも大事ですが、異なる要素を組み合わせて比較することが有効です。

前回、「ストレスチェックの集団分析③:「職場改善スタート!」の前に確認したい集団分析の使い方」でご紹介したような、「総合健康リスク」×「高ストレス者割合」を掛け合わせた分布図は「ストレスの原因別」にグループを分別しそれぞれに必要な改善策の方向性を提案します。
 

「ソシキスイッチ ストレスチェック」なら、集団分析レポートに「総合健康リスク」×「高ストレス者割合」を搭載!


また「長所の充実度(良い結果が出ている項目数)」×「総合健康リスク」で4象限に分けることで「強みを生かすのか」・「社全体・制度全体の改善が必要なのか」を見るという手もあるでしょう。
 

【「改善策の対象」×「組織でやるのか・従業員に参加してもらうの」など、実施方法ごとに軸を設けそれぞれの領域を埋める】など、分析以外にも応用できる手法です。

基本的に 集団分析結果は「公開してもいい」データとなるよう分析されます。
実施の主体となる従業員全体から、広く改善策・分析方法を募るもの良いですね。
 

集団分析の本質は「従業員の健康」
様々な視点から健康的な職場を目指して

集団分析は「その時個人が感じているストレス」について分析するチェックです。

従業員のメンタルヘルスケアに職場改善は欠かせませんが、ストレスの要因は身体の健康状態や家庭、今までの経験……など様々です。また、健康管理には集団分析や産業医面談といった法律で定められている制度の活用だけでなく、普段の様子や就業状態といった「ストレスチェック以外の情報」にも大きなヒントが隠されています。

「健康的な職場とは何か」について、産業医・産業保健スタッフ・社外の専門家へもご相談ください。
 

 

 

 

初出:2021年02月03日 / 編集:2023年04月19日

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