ストレスチェック業界平均値レポート2025:総合健康リスクはおおむね良好、職場環境は働き方改革等の影響あり?一方、高ストレス者割合は全14業界中10業界で14%を上回る結果に

株式会社情報基盤開発は、2024年中に「ソシキスイッチ ストレスチェック(旧:AltPaperストレスチェック)」をご利用いただいたお客様からデータをご提供いただき※1、「高ストレス者」※2の割合・「総合健康リスク」※3・「各種ストレス尺度」について業種別に平均値を算出した「ストレスチェック業界平均値レポート2025」を公開いたしました。
 

※2025年ご報告の本データは、2024年にストレスチェックを実施され、2024年12月末日までに弊社で集計を完了した2,337事業者(男性365,530名、女性279,859名)を含む約65万人のデータを対象としております。業界平均値は、弊社のストレスチェックキットをご利用いただいた事業者様に「集団分析結果のご提供」の承諾を個別にお伺いし、ご同意いただいたデータのみを用いて分析を行っております。

※2024年単年の「ソシキスイッチ ストレスチェック(旧:AltPaperストレスチェック)」導入事業者数は約4,800法人、150万人。

【 目次 】※各タイトルからページ内の該当箇所にスクロールします
1. 職場の環境からくる健康リスクは安定的に改善 / 高ストレス者割合は平均的に高く、全業界で初めて12%を上回る
2. 数値が改善している業界・悪化している業界にばらつき / 各業界・各社ごとの事情を踏まえた対策が求められる
 - 総合健康リスク
 - 高ストレス者割合
3. 高ストレス者と判定されているのは全体の約15%
業界平均値データの算出・調査方法

 

 

職場の環境からくる健康リスクは安定的に改善
高ストレス者割合は平均的に高く、初めて全業界で12%を上回る

※ 赤い囲み部分 … 総合健康リスク:110以上を赤色、100以上を黄色に色分け
高ストレス者(A判定)割合:15%以上を赤色、10%以上を黄色に色分け
A判定割合高ストレス者割合。当社のデータでは、厚生労働省公表のストレスチェック結果の分布で最も高い評価「A」判定を示した受検者の割合を用いています。

 

「総合健康リスク」は、14業界(「T.分類不能の産業」を除く)すべてが厚生労働省の基準値(全国平均:100、平成17年度/2005年に基準値として設定)前後で、平均的な数値となりました。この基準値を1割(110)以上上回る業界はみられず、どの業界もおおむね良好な結果といえそうです。
 
一方で「高ストレス者割合(A判定割合)」は、初めて全業界で12%を超える結果となりました。これは前回は良好だった「J. 金融業・保険業, K. 不動産業・物品賃貸業」(前年比+1.9) と「F. 電気・ガス・熱供給・水道業」(前年比+2.6)の2業界の結果が増加に転じたことによるものです。この2業界以外は前回から13%を上回ってはいたものの、今回は高ストレス者割合が14~16%の業界がもっとも多く、全14業界中(「T.分類不能の産業」を除く)10業界が14%以上という結果に。高ストレス者割合は平均的に高くなっており、業界間の差が狭まっている印象です。

また、数値の変化の幅は全体的にはさほど大きくないものの、前年と比較すると、改善している業界/悪化している業界がほぼ半々とばらつきが出ました

弊社の業界平均値では、受検者数や事業者数などの変動も関係してくることから一概にはいえないですが、各業界の現状や働き方改革など世相を反映している可能性も考えられることから、業界ごと・各事業場ごとの個別の事情を踏まえて、それぞれ自社の結果と併せて職場環境改善策の参考にしていただければと思います。
 

 

数値が改善している業界・悪化している業界にばらつき
各業界・各社ごとの事情を踏まえた対策が求められる

◆総合健康リスク

まず「総合健康リスク」は、職場に対して感じているストレスを「仕事の量-コントロール」と「職場の支援(上司や同僚からの支援)」の2軸に分け、職場の環境が従業員の健康にどの程度影響を与えるかを総合的に評価したものです。

総合健康リスクは全体的に良好な結果となりましたので下記は参考程度ですが、今回の特徴は次の通りです。
 

「N. 生活関連サービス業, 娯楽業」(前年比-4.5)は、今回基準値100を下回りました。ちなみに、その前年も前年比-6.6ポイントでしたので、この2年でおよそ11ポイント改善したことになります。

・「J. 金融業・保険業, K. 不動産業・物品賃貸業」(前年比-4.4)は、今回の結果では、もっとも総合健康リスクが低い業界となりました。

「H.運輸業,郵便業」「M. 宿泊業, 飲食サービス業」はともに、前年比-2.1ポイントでした。

 

・「L. 学術研究,専門・技術サービス業」(前年比+2.1)と、「O. 教育, 学習支援業」(前年比+2.0)はやや数値に変化がありました。

・特に「L. 学術研究,専門・技術サービス業」は、今回基準値の100を若干上回りました
基準値と同程度で職場環境からくるリスクは高くなく良好ですが、年々リスクが増加している傾向にあるようです。

 

 

◆高ストレス者割合

ストレスチェックの「高ストレス者」は、回答項目の中で心身のストレス反応を中心に評価しており、実際にストレス反応が現れている場合に高くなり、一定の基準を超えると高ストレス者と判定されます。各事業場の中で高ストレス者がどの程度いるかを示したものが、高ストレス者割合です。

今回の結果で、特に高ストレス者割合が高かった業界は下記のとおりです。
 

<高ストレス者割合ワースト5>
E. 製造業(18.5%、前年比-0.3)
P84-85. 保健衛生、社会保険・社会福祉・介護事業(17.3%、前年比+0.5)
M. 宿泊業, 飲食サービス業(16.4%、前年比-1.9)
I. 卸売業, 小売業(16.1%、前年比+0.2)
O. 教育, 学習支援業(15.9%、前年比+2.3) 

 
前回の結果と比較すると、ワースト2と3が入れ替わり、「M. 宿泊業, 飲食サービス業」と「P84-85. 保健衛生、社会保険・社会福祉・介護事業」の順位が逆になりました。また、前回ワースト4だった「H. 運輸業, 郵便業」は、「O. 教育, 学習支援業」の高ストレス者割合が+2.3ポイント増加したことにともない、ワースト5からは抜ける結果となりました。

各業界によって増減はあるものの、全体として見ると高ストレス者は割合は高くなりつつある傾向にあるようです。

 

高ストレス者と判定されているのは全体の約15%

また、今回、弊社のソシキスイッチストレスチェック受検者全体の高ストレス者割合を算出してみたところ、約15%の労働者が高ストレス者と判定されていることが明らかになりました。
 

「ソシキスイッチ ストレスチェック」
業界平均値レポート2025:高ストレス者割合(男女)

 

この結果を見ても、冒頭でお伝えしたように、高ストレス者割合の高い/低い業界という差は以前に比べて少なくなっており、高ストレス者割合は平均的に高くなっている印象を受けます。
 
ここで一つ注意が必要なのは、この「高ストレス者割合はおおむね職場の10%」という厚生労働省が設定している基準値は、ストレスチェック制度が設立された2005年(平成17年度)の平均値を目安にしたものです。(今後は基準値の見直しが検討されているようですが、現時点では10%に設定されています。)
この十数年で働き方改革が推進され、長時間労働の是正や働く場所・人・環境の多様化により、テレワークの普及やワークスタイルの変化など、労働者・事業者を取り巻く環境は大きく変わりつつあります。そのため、基準値を参考にしつつも、業界ごと・事業場ごとに、自社のストレスチェックの集団分析結果をもとに、環境の変化や現状を細かく把握することが大切となります。ハラスメント対策やストレスとなりうる出来事を取り除くことも含め、職場環境改善に取り組んでいただくことがより一層求められているのではないでしょうか。
 

 
※昨年の結果は「ストレスチェック業界平均値レポート2024」でご覧いただけます

 

 


本業界平均値データは、弊社のストレスチェックをご利用の各事業者様の集団分析結果をもとに算出しております。集団分析の結果は、個人を特定することなく各職場の課題を把握することができ、職場環境改善に役立てていただけるものですが、例えば未受検者の方が多くいらっしゃる場合や、休職中など回答できない方が多いと、受検率が低くなってしまうことがあります。受検率が十分でないと、各数値に正しい結果が反映されていない可能性も懸念されますので、より信頼できるデータを集めて、職場環境を正確に把握するためにも受検率の向上に努めていただければと思います。
ストレスチェックの受検は義務ではありませんが、ストレスチェック実施の意味・職場環境改善への活用について従業員に正しく理解してもらうことが受検率の向上につながります。
 
本業界平均値と併せて、改めて貴社の集団分析データと向き合っていただき、 各事業場や従業員に合わせた改善策をご検討いただけたらと思います。
本考察の視点が、御社の職場環境改善のヒントになれば幸いです。
 
弊社・株式会社情報基盤開発は、「ストレスに悩まない職場をつくる」というミッションの実現に向けて、今後もストレスチェックをはじめ、職場のメンタルヘルスケア、健康経営、業務効率化の実現につながる各種法人向けサービスをご提供してまいります。

 

【調査方法】
この度算出いたしました業界平均値データは、弊社サービス「ソシキスイッチ ストレスチェック(旧称AltPaperストレスチェック)」を2024年中にご実施いただいた事業者を対象に、集団分析結果のご提供の承諾を個別に伺い、同意いただいた事業者のデータのみを用いて分析を行ないました。

比較の基準としている「全国(厚労省データ)」は、
厚生労働省科学研究費補助金労働安全衛生総合研究事業「職業性ストレス簡易調査票及び労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリストの職種に応じた活用法に関する研究」、平成19年度総括・分担報告書 表4 職業性ストレス簡易調査票下位尺度の職種別平均値及び標準集団との比較、が出典です。

集計につきましては、事業者様のデータについて男性参加者データ・女性参加者データに分け、高ストレス者の出現割合、健康リスク、各尺度の平均値を業種ごとに算出しました。なお、本記事につきましては「男性」データを用いて、比較・分析を行っております。

※1 データの取り扱いについて:
・各事業者様にご提供いただいたデータにつきましては、業種・規模・地域をお伺いして分類することとし、個々の事業者様・受検者様を識別できないようにして取り扱っております。
・各受検者様の回答につきましては、性別・職種と57項目・80項目の回答データのみ使用することとし、個人を識別できないようにして取り扱っております。
・業種の分類は、総務省の日本標準産業分類(大分類、一部中分類) に従います。著しく事業者数が少なかった業種については比較的近い業種に集約しております。

※2 「高ストレス者」とは:
厚生労働省(令和元年7月)が公表したマニュアルに基づいており、以下(1)及び(2)に該当する者を指します。(1)及び(2)に該当する者の割合については、概ね全体の10%程度を基準とします。
 (1)「心身のストレス反応(29項目6尺度)」の合計が12点以下
 (2)「心身のストレス反応(29項目6尺度)」の合計が17点以下で「仕事のストレス要因(17項目9尺度)」
  及び「周囲のサポート(9項目3尺度)」の合計が26点以下
 
※3「健康リスク」とは:
基準値として設定された全国平均値100からどの程度乖離しているかで算出されます。また、健康リスクの数値を表す「仕事のストレス判定図」とは、 男女別に求められた「量-コントロール判定図」と「職場の支援判定図」から構成されます。この二つの調和平均が「総合健康リスク」となります。
「量-コントロール判定図」はストレスチェックから得られた「心理的な仕事の負担(量)」「仕事の裁量度」の2尺度の数値から、職場の支援判定図 は「上司からの支援度」「同僚からの支援度」の2尺度から求められます。

 

※「ストレスチェック業界平均値データ2024」は、弊社サービスをご利用いただき匿名データ提供にご協力いただいているお客様のみへのご案内となります(2025年4月にデータ一式を送付済み)。

今回、「業界平均値レポート2025」については記事のみのご案内となり、レポートのPDF資料ダウンロードはございません。
 

ストレスチェック実施のお悩みは、
情報基盤開発にお問い合わせください

おかげさまで、昨年2024年単年度の導入実績4,800社・150万人!

厚生労働省マニュアル準拠、実施者代行や医師面接代行、産業医紹介等のオプションサービスも豊富な「ソシキスイッチ ストレスチェック」(旧称 AltPaperストレスチェック)のご利用を是非ご検討ください。

下記のフォームより、最新の「ソシキスイッチ ストレスチェック」サービス案内資料のダウンロード、ならびにお気軽にお問い合わせください。

 

 

〔参考文献・関連リンク〕

 

初出:2025年06月18日

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