学術研究、専門・技術サポート業:ストレスチェック業種平均値レポート2019

学術研究・技術サービス業界が「低ストレス」な理由とは?キーワードは…「自律性」?!

AltPaperストレスチェック業界平均値「業種別レポート」から詳細解説

「AltPaperストレスチェックキット」をご利用いただいたお客様からデータ※1をご提供いただき、高ストレス者※2の割合・総合健康リスク※3・各種ストレス尺度について業種別に平均値を算出しました。

そのデータから業界に沿った詳細な分析・職場改善のご提案を【AltPaperストレスチェック業界別レポート】として発表しています。
 


第六弾として、昨年に続いて好成績を維持している「学術研究、専門・技術サービス」の環境について、その背景と要因を分析。従事されている方にお勧めなセルフケアに関するレポート等をまとめました。
 

 

 

<2019年実施データ総覧>

ご協力いただいた企業はストレスチェックレポート全体で962事業所に登り、昨年度より255社の増加となりました。「学術研究、専門・技術サービス業」では全19社:男性1,520名・女性705名のご参加をいただきました。
 

〔業種別〕高ストレス者の割合・総合健康リスク(金融業・保険業、不動産業・物品賃貸業):AltPaperストレスチェック業界平均値レポート2019

総合健康リスク・高ストレス者割合は他業種と比較しても低く、総合的にストレスを感じにくい“良い環境”の維持ができているように見受けられます。
 

【業種別ストレス調査結果詳細】
学術研究、専門・技術サービス業

[ 分析方法 ]
職業性ストレス簡易調査票における各尺度の平均値が全国データからどれほど乖離しているかを計るために、全国平均値を0とし、1から-1の間に全国データの7割が入るように、正規化数値※4を算出しました。
 

ポイントは「自律性」?
学術研究関連業の2つの長所とは

今回調査した全業種内でも、「学術研究、専門・技術サービス業」は特にストレス要因の少ない業種です。心身のストレス反応に関する項目も良好で、総合健康リスク・高ストレス者割合ともにかなり良い状態を保てています。

昨年の記録と比較しても大きな変動がなく、この状態を維持できていることは良い傾向といえるでしょう。

「学術研究、専門・技術サービス業」界は 技能の活用度・自覚的な仕事の適正度・働きがいの結果が良好で男女差の少ないことが特徴です。技術・専門性の高い業務の多い業界であるため、今までのキャリアや経験を活かせる・学びが業務に直結する場面が多いと予想できます。

男女間で差はあれど「仕事の裁量度」もかなり高く、職場環境によるストレスが少ないことも併せて、自分の仕事や業務内容に対してある程度選択の幅がある環境が多いのではないかと思われます。

「仕事の質的負担が高い」業種でも、身体愁訴( 身体の何らかの不調 )や疲労感といった「心身のストレス反応」に悪影響がない背景には、

・業務に対する専門性コミットメントが高く、モチベーションや自己効力感が得られる
・仕事の裁量度が高く、休憩や業務の順番といった調整を行うことができる


といった職場環境の配慮が大きく関与していると考えられます。

ワークエンゲージメントへの影響も大きいこの2点は、今後ともこの業界の長所になることでしょう。

改善点としては、グラフの形から「質的な負担」の強い業務が多く、仕事の量的・質的負担に対して、上司の支援や裁量度の男女差が大きく開いていることが読み取れます。

「職場全体の環境や業務内容・就業上の配慮などが充分に活用されているか」は、見直しと検討改善が求められる分野といえるでしょう。
 

「制度がある」だけでは不十分
社内制度や就業規則の「使い勝手・認知度」は要確認

「学術研究、専門・専門サービス業」の各項目をグラフに表すと、金融やサービス業に関連する業種に似た形になります。身体的負担と職場環境に関連する項目に男女差が少なく、企業の傾向が直に現れていると受け取ることができるでしょう。

仕事負担に関する項目も同様で、男女の別なく集中力・思考力・精神力を使う業務内容に従事されていることと考えられます。

項目中では「職場の人間関係」が比較的低く現れていますが、これは個人で行う作業が多かったり専門的な業務知識の必要な業務に従事する業界の特徴でもあります。

このような場合、成果に対するプレッシャーや業務上の悩み・不満を個人で抱え込んでしまう事が多く、ラインによるケアなどの組織からの積極的なアプローチが有効です。
  

〔業種別〕ストレスチェック各尺度(学術研究、専門・技術サービス業):AltPaperストレスチェック業界平均値レポート2019

 
「上司の支援」・「仕事の裁量度」について男女間で差がある点は、注意すべきと考えます。

上記のように環境・働きがい・適性度について男女間では同様の差が見られないため、業務内容に大きな違いがあるとは思われません。

男性の「仕事裁量度」・「上司の支援」に関する結果は、コミュニケーションの少なさから発生したものととらえることができます。社内制度や相談に対して抵抗がある・必要性がないので行われない、そもそも制度を知らないといったことが背景にあるのではないでしょうか。

企業としては、せっかく設けた制度は活用してもらいたいもの。産休・育休や時短勤務といった制度があれば、その活用・適用範囲を周知する所から始めてみましょう。

併行して、一人で行う業務が多い業界では不便・不満に感じていることを企業が感知しにくいため、業務のトラブルを抱え込んでしまうといった問題に注意が必要です。

「上司間・同僚間で情報を共有する機会」を定期的に設ける取組みを行うと、労働時間の適切な把握・管理ができるとともに、コミュニケーションの活性化を促します。
 

【セルフケア・改善案】
学術研究、専門・技術サービス業

以上の結果から、業界従事者の皆さんに行っていただきたいセルフケアを提案いたします。
 

コミュニケーションには「頻度」「慣れ」が大事

職場の上司や同僚に対して、「話を切り出しにくい」「相談しにくい」と感じたことのある人は多いでしょう。

それぞれに仕事と目的があって集まっている「職場」のコミュニケーションというのは、上下関係などもあり基本的に趣味などの付き合いよりもハードルが高いものです。コミュニケーションを深めるためには、無意識のうちに抱いている警戒心を解きほぐす「頻度」が重要になります。

顔を合わせた時挨拶をする、一緒の空間にいて他の誰かと話している声を聴く、
チャットやオンライン会議でも発言前に一声かけることで打ち解けやすさが異なるでしょう。

特に上司や部下を抱える方は、朝礼などで全員に一度に声をかけるほかに一人一人に挨拶を行う、自分から身近なことや情報を提供するといった働きかけを続けることが効果的です。

「楽しく雑談ができる」というのは実は技術や性格といった要素が必要になります。それよりも「気兼ねなく挨拶ができる」「臆することなく情報のやりとりができる」間柄を目指して職場でのコミュニケーションをワンランクアップさせてみませんか。

下記の記事もご参考になればと思います。

 

不規則な生活や睡眠不足……
「目」「耳」「鼻」に現れるサインを見逃すな

「普段からコミュニケーションをとっている相手なのに、今日はなぜかうっとうしい」「なんだかイライラしてしまう」そんなことはありませんか?

私たちの心は、ホルモンや血流などのさまざまな身体的な要因から大きな影響を受けます。空腹や睡眠不足は、私たちが体感するよりも大きく“気分”や“考え方”を左右します。

開発研究や制作に携わる業種の場合、 業務と生活のバランスが崩れて不規則な生活リズムで過ごされる方も多いと伺います。今までうまくいっていたコミュニケーションや会話につまづくことがあったら、まず生活習慣やご自身の体の状態を見直すタイミングと思ってみましょう。

特に口内や唇、指先の皮膚、下瞼の裏の色などは普段から気にかけておきたい大事なチェックポイントです。これらの部位は 私たちの体を支える重要な神経に影響するため、 毎朝や出社前の身だしなみを整える時、目や耳の状態を普段から確認する習慣をつけてはいかがですか。

「なんだか調子が悪い、色が変だ、形がいびつになっている」
「ケアの仕方がよくわからない」
そのような時には、自分で解決せず医療機関にかかりましょう。

体調や生活習慣は変化が緩やかで気が付きにくいため、重症化しやすく改善にも時間と手間がかかるもの。

新型コロナ感染症の予防のためにも、自分の体に興味を持ち「観察」してみることをお勧めします。
 

 

 

 

 

 

 

 

<注釈>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1.データの取り扱いについて
 ・各事業者様にご提供いただいたデータにつきましては、業種・規模・地域をお伺いして分類することとし、個々の事業者様・受検者様を識別できないようにして取り扱っております。
 ・各受検者様の回答につきましては、性別・職種と57項目・80項目の回答データのみ使用することとし、個人を識別できないようにして取り扱っております。

2.「高ストレス者」とは
 厚生労働省が公表したマニュアル(2015)に基づいており、以下(i)及び(ii)に該当する者を指します。(i)及び(ii)に該当する者の割合については、概ね全体の10%程度とします。
 (i)「心身のストレス反応(29項目6尺度)」の合計が12点以下
 (ii)「心身のストレス反応(29項目6尺度)」の合計が17点以下で「仕事のストレス要因(17項目9尺度)」及び「周囲のサポート(9項目3尺度)」の合計が26点以下

3.「健康リスク」とは
 基準値として設定された全国平均値100からどの程度乖離しているかで算出されます。また、健康リスクの数値を表す「仕事のストレス判定図」は、量-コントロール判定図と職場の支援判定図の二つをさらに男女別に分けたもので構成されます。この二つの調和平均が「総合健康リスク」となります。

◆仕事のストレス判定図
 1.量-コントロール判定図…仕事の量的負担とそれに対するコントロールの度合い(裁量権)による健康リスク
 2.職場の支援判定図…上司の支援と同僚の支援の状況・バランスによる健康リスク

※4.「正規化数値」とは
 { (各尺度の値) – (全国平均) }/(全国データの標準偏差)×100を正規化数値と仮定しています。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 

★業界平均値と自社データを比較できるカラーグラフを採用!
AltPaperストレスチェック新レポートリリース

9月1日より順次AltPaperストレスチェックの提供する集団分析結果レポートが、「一目でわかる」新デザインにリニューアル!

新たに分布図やカラーバー分析を搭載し、より対策優先度や部署ごとの特徴を「掴みやすい」・「社内に説明しやすい」紙面デザインに刷新いたしました。

 

新レポートに関するやお問い合わせや資料請求は、下記のフォームをご利用ください。

初出:2020年08月21日

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