ストレスチェックの実施にあたっては、まず対象となる従業員に制度の趣旨について知ってもらい、実施方法や結果および個人情報の取り扱いについても明確にする義務があります。
不安がある状態でストレスチェックを実施しても、「メンタルヘルス不調と判断されたら、クビになってしまうのではないか」などと考え正確な回答が得られないことも多々あります。このような不安を払拭するためにも、ストレスチェックを実施する際は、制度の趣旨や結果の取り扱いについて、正確な情報を通知する必要があるからです。
また、管理職からは「高ストレス者が多いと管理責任を問われる」「費用と時間をかけてやる価値があるのか」というような声が上がる可能性もあります。
ストレスチェックの担当者は、制度の実施に際してしっかりと趣旨を説明する必要があります。そういった意味で、社内への案内文は、ストレスチェックがうまく機能するか否かを左右する重要なものであると言っても過言ではありません。
案内文作成のポイント(対従業員向け)
①ストレスチェックの趣旨を明確にする
まず、ストレスチェックはメンタルヘルス不調の一次予防を目的とし、働きやすい職場を作るための制度であることを明示します。
併せて、ストレスチェックを実施する根拠となる法律である労働安全衛生法についても記載し、法に基づいた制度であることも周知しましょう。
②個人情報の取り扱いについて明確にする
次に、ストレスチェック実施にあたり従業員の個人情報の取り扱いを明確にし、結果やデータをどのような範囲で利用するのかを明記します。受検すること自体は任意なので、できるだけ数多くの方に受けてもらうために少しでも懸念点を減らしたほうが良いでしょう。
また、ストレスチェックの結果によって解雇や配置転換がある等の不利益を被る可能性はないことを説明し、ストレスチェックの結果は本人が同意しない限り事業者側が知ることはできないことも併せて明示します。さらに、相談窓口の連絡先も記載しておきます。
③実施対象の従業員にもれなく周知する
ストレスチェック制度について周知させるためには、当然ながら、対象となる従業員が案内文をきちんと見ることができるように案内する必要があります。メールや紙面配布、社内のイントラネット等、事業者側の事情に合わせて選択してください。
できれば直属の上司から部署内のメンバーへ口頭で伝えるなど、全員に確実に情報が行き渡る仕組みを整えることが望ましいでしょう。
それでは、上記をふまえた案内文の文例を以下に掲載します。
〇〇株式会社△△事業場の皆様
平素より会社の健康・衛生管理施策にご協力いただき、誠にありがとうございます。衛生管理者(事業場内メンタルヘルス推進担当者)の〇〇です。
今般、セルフケア(一人ひとりが行う自身の健康管理)をさらに充実化してメンタルヘルス不調を未然に防止するため、および働きやすい職場環境の形成を目的として、労働安全衛生法に基づき、産業医〇〇および保健師〇〇を実施者としたストレスチェックを行います。
ご多忙の中恐縮ではありますが、下記の期間内にご受検くださいますよう、お願い致します。
Ⅰ.実施期間:20〇〇年〇〇月〇〇 日(火)~〇〇月〇〇日(火)
(労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアルより引用・改変)
〇〇月〇〇日(火)17:00 までに回答をお願いします。
Ⅱ.対象者 :20〇〇年〇〇月1 日時点で就業している社員
本メールが届いた方はストレスチェックの対象となりますので、受検をお願いします。
Ⅲ.質問数 :〇〇問 所要時間:約〇〇分~〇〇分/回(就業時間の取り扱いとなります)
Ⅳ.実施方法:原則としてWeb にて実施
利用者ガイド若しくはURL〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇を参照下さい。
利用者ガイド→ こちら
■ストレスチェックの結果はご自身で閲覧・印刷することが可能ですので、自己管理ツールとしてご活用下さい。
■マークシート回答の方 : 後日、「個人結果表(ストレスプロフィール)」を社内便で送付します。
Ⅴ.結果の取り扱いについて
ご回答いただいたストレスチェックの結果は、個人の健康管理を目的として、実施者の産業医・保健師のみが確認し、必要に応じて面接推奨のご連絡を個別に差し上げます。
【注意事項】
・個人の結果が外部(上司・人事部門等)に漏れることは、貴殿が同意しない限り、一切ありません。
・人事考課等にも一切使用しません。もし、評価結果等に疑問を感じた場合には、以下担当者に苦情を申し立てることができます。
・ストレスチェックの結果をもとに、解雇や配置転換等、貴殿の不利益になるようなことは一切いたしません。
・職場全体のストレス傾向の把握を目的に、個人が特定できないようにストレスチェック結果を加工し、分析および報告書作成に使用します。
【相談窓口】
〇〇部〇〇課
衛生管理者(事業場内メンタルヘルス推進担当者)〇〇
内線〇〇〇〇
メールアドレス〇〇@〇〇〇〇〇〇〇〇
以上、宜しくお願い致します。
管理職および経営陣向けの説明
完成した案内文をもとに、管理職と経営陣にも説明します。
→ストレスチェックの案内や通知と合わせて、管理職や経営陣にも制度の詳細を説明しましょう。
●ストレスチェックの結果は人事考課などの評価には使われないこと
●高ストレス者が出たことだけで管理責任を問われることはないこと
●ストレスチェックの受検は奨励されるものではあるけれど、強制はされないこと
●もし結果や対応について疑問があれば、公的な相談窓口が利用できること(例:ストレスチェック制度サポートダイヤル、働く人のこころの耳電話相談)
法律に準拠して進めれば、ストレスチェックの導入は重大なトラブルが起きることが非常に少なく、安全に運用できる点を伝えると良いでしょう。
経営層に、ストレスチェックは法律で義務付けられた制度であり、従業員がメンタルヘルス不調になることを防ぎ、個々の能力を十分に発揮して働くことができる職場環境になれば、生産性が向上し会社の利益につながることを説明します。
「労働安全衛生法では、常時使用する従業員が50人以上の事業場にストレスチェック実施を義務付けています(50名未満は努力義務)。この制度はメンタルヘルス不調を未然に防止することを目的としています。」 「ストレスチェック制度の導入は法律上実施が義務付けられているというだけでなく、個々の従業員のパフォーマンスと職場環境の両方を改善することで生産性を向上する効果が期待できます。経営層として、ぜひ後押ししてください」 |
このように「法的な背景」「実施の安全性」「会社の利益」といった点を明確に伝えることで、上層部の協力を得やすくなるでしょう。

効率的にストレスチェックを進めたい方へ
ここまで解説したポイントを押さえれば、問題なく社内向けの案内をすることができるでしょう。ただし、会社によって状況は様々。
「従業員の属性ごとに異なる案内が必要」
(雇用形態、勤務場所、外国人向けの対応など)
「管理者や経営層が他社事例などのより詳細なエビデンスを求めている」
「案内文をアレンジしたいが法的リスクが分からない」
など、新たな対応が発生することもあり、担当者一人ですべての懸念に対応するのは大きな負担です。
ストレスチェックは、ただの義務ではありません。会社と従業員の関係をより良くするための大切な機会です。「こういうテンプレ書類はある?」「説得材料として他社事例が欲しい」など、社内調整でお困りの際はぜひ私たちにご相談ください。
貴社の状況に合わせて、最適な進め方を一緒に考えさせていただきます。
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初出:2017年09月18日 / 編集:2025年09月29日 |