ストレスチェックは「自覚の推奨・医療への接続・職場改善のデータ採取」を目的とした制度です。
企業としては「その後の改善に役立つ」情報がほしいもの。環境のどの部分がストレスになっているのかわかりやすい・ 分析しやすいデータを得るためには、「集団分析」の集団について工夫してみましょう。
今回は集団分析の「集団の作り方」に関するテクニックをご紹介いたします!
当記事関連のオンラインセミナー開催!
部署・働き方・年齢性別……
「職場の条件」からストレスの原因を探ろう
職場のストレスは「なんとなく感じているけど、本人も何が原因かわからない」ケースが大半です。
「仕事に不満はないけど、不調は感じている」個人個人のデータを似た環境・似た条件にまとめて分析し、その環境や条件に当てはまる人たちのデータから傾向やストレスに影響する因子がないかを探る「集団分析」の実施が推奨されています。
集団分析の実施方法の基本は「共通の条件のある従業員で集団を作る」ことです。
事業所や部署といった仕事上の分類などは、仕事をしている環境・業務内容が似通っててストレスの条件を特定しやすくなるため、多くの企業で実施されているお勧めの「集団条件」です。
契約形態や業務上の責任順で集団分析を行うと、「職場内で発生しているプレッシャーの流れ」や「社内の人事傾向」の把握がわかりやすくなります。
また、「これは意味があるの?」と思われるかもしれませんが、年齢・性別による分析もお勧めです。
いまだ女性の進出に足踏みが続く日本では、職場の細かな雑用や従業員間の調整など「見えないケア」を女性が担わされているケースが多く、優秀な人材が存分にスキルを発揮できていない可能性が想定されます。
良好な部署であっても、男女で感じているストレスが異なる時は「見えない負担」の存在を疑ってみていいでしょう。
年齢によってストレスチェックの結果が異なる場合、社内の制度や職場の空気、風土などにも原因があるかもしれません。
職場の気になる部分からどんなストレスが?
ストレスの傾向から逆計算してみよう
※この分析は実施者業務を行う産業医もしくはそれに準じる資格を有する方による実施・確認が必要です。
部署や業務内容などで集団分析で見ても原因がわかりにくい場合は、【組織全体のストレスチェック結果】と合わせて分析するという手法もあります。
この手法は社内全体にかかるストレスの特徴をよくつかむことができるため、社の制度に対する不満やストレスを分析するのに有効です。
例えば、「仕事の量的負担」に関するストレスチェックの結果が不良であった場合、一番有効な対策は「業務内容や就労時間の見直し」です。しかし、なかなかすぐにその対応ができる企業は少ないでしょう。
ですが、「仕事の量的負担」を感じている方に30~40代の中間管理職が多いようであれば、中間管理職と業種を限定しての業務やプレッシャーへのフォロー・人間関係の不安に関するカウンセリングを重点的に行うことで解決する場合があります。対策や高ストレス者の面談についても、案を出しやすくなるでしょう。
社風や賃金、業務の偏りといった組織全員が関わる問題については各集団だけではなく全社・全部署との比較が必要です。
逆に上司や同僚のサポートといった個々の関係性・就業内容に関わる部分では、大きすぎる集団データを使用しても明確な分析結果が得られにくいでしょう。
有効な施策には問題の関連づけが重要
経年比較・業界比較も取り入れて
集団分析は、「集団の持つ条件」と「ストレス傾向」を比較し、原因の予測や職場の改善点をより明確化する手法です。
一つの集団だけではわかりにくい特徴も、組織全体や別部署の結果と合わせて比較することでそのプラス面・マイナス面をはっきりさせ、その部署・組織にマッチした改善策を講じる手掛かりになります。
さらに業界全体や、厚労省発表の全国平均と比較することで、働く人をとりまく「組織の大きな特色」から「部署・業務の小さな特徴」まで深く分析することができるでしょう。
ストレスチェックは、実施後の「職場改善」こそが目的です。
組織だけではなく、部署ごと・集団グループごとの毎年の結果を比較し、どの施策が有効であったか安全衛生委員会などで見直す機会を設けましょう。
AltPaper集団分析レポートのサンプルや集団分析実施に関するご質問など、資料請求やお問い合わせは下記のフォームをご利用ください。
初出:2020年10月07日 / 編集:2021年06月24日 |