緊急事態のさなか、新型コロナウイルス対策の「特措法」と「感染症法」の改正法が2月13日に施行されました。
「罰則規定が追加されたというけれど、具体的には?」「事業や生活にはどれくらい影響があるの?」など、不安に思う方も多いのではないでしょうか。
ここでは、新しく追加された罰則規定について、主に法人企業・団体など事業主への影響についてまとめました。
※「特措法」の成立背景や「感染症法」については、下記の別記事で解説しています。
要請に応じない事業者などへの罰則追加へ
♦企業や事業者への罰則は?-改正「特措法」
改正された改正特別措置法(特措法)では、緊急事態宣言のもとで、都道府県知事は、営業時間短縮や休業要請などに正当な理由なく応じない事業者に対し、「命令」ができるようになります。
そして、要請応じない事業者に対しては、行政罰となる「30万円以下の過料」(金銭的なペナルティー)が科されます。
- 緊急事態宣言が発令されている:
⇒ 30万円以下 - 発令前の「蔓延(まんえん)防止等重点措置」段階:
⇒ 20万円以下
また、必要な立ち入り調査にも応じず、これを拒否した場合には、20万円以下の過料を科すとしています。
♦個人に対しての罰則は?-改正「感染症法」
さらに、改正感染症法では、医療資源の重点化と対策の実効性を確保するために、感染者に対して自宅療養や宿泊療養を求めることのできる規定が新たに設けられました。
この法律では、新型コロナウイルスに感染した疑いのある者に対して、都道府県知事などの要請に従わない場合には入院勧告をし、「入院先から逃げた場合又は正当な理由がなく入院措置に応じない場合は50万円以下の過料に処すものとする」(感染症法第80条)ことができます。
また、調査に応じなかったり虚偽の申告をした場合にも「30万円以下の過料に処するものとする」(感染症法第81条)としています。
法改正後、時短営業や休業補償など“救済措置”はどうなる?
緊急事態宣言が発令されていた11都府県のうち、栃木県を除く10都府県は「3月7日までの期間延長」が2月2日夜に正式発表されました。
(栃木は2月7日をもって解除も、ステージ3相当の数値中は時短営業を要請)
ステージ3に移行するための指標の一つ「病床使用率」が基準を大幅に上回る地域が多い実状、「ステージ2」相当以下になるまでは時短営業やテレワーク体制強化(不要不急の外出自粛の要請)など必要な感染防止対策を続けるべきだとする見解も出されています。
また今後は、緊急事態宣言発令前であっても、感染状況を示す4段階のステージと6つの指標をベースに、改正法に則って罰則も含めた実効性のある対策が各自治体主導でとられていく可能性もあることが、改正前と異なっている点に注意が必要です。
帝国データバンクの資料によると、新型コロナウイルスの影響を受けた倒産件数は確認できているだけで全国1,114件(2021年3月4日16時時点)。
業種別の内訳では「飲食店」が175件と多く、「建設・工事業」が95件、「ホテル・旅館」が79件、「アパレル小売店」65件、「食品卸」56件といった状況にあり、都道府県別では東京都269件・大阪府109件で計378件と全体の34%を占め、神奈川県が64件、静岡県が54件、愛知県・兵庫県が47件、北海道が46件と続きます。
「病床使用率」を下げるべく医療機関への助成が手厚くなるのは致し方ないとはいえ、その一方で中小企業や個人商店主に向けた新たな救済措置や助成制度の期間延長や追加措置などがどのようになるのか等々、今後の動向も気になるところです。
雇用調整助成金・緊急雇用安定助成金、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の特例措置を「緊急事態宣言が全国で解除された月の翌月末まで」延長することや、大企業については雇用調整助成金の特例措置に係る助成率の引き上げ等が発表されたほか、2021年2月8日時点で経済産業省が現状における助成制度などをまとめた資料を公開いたしました。
» 新型コロナウイルス感染症で 影響を受ける事業者の皆様へ
改正「特措法」施行!罰則規定追加で、今後の財政支援にも注目を
2月13日(土)に改正法が施行されました。
ご紹介したように、正当な理由なく要請に応じない事業者などに対する罰則規定が新しく追加されています。
事業主側は改正法の内容を正しく理解するだけでなく、各種業界団体による発表や自治体ごとに異なる要請内容や、救済制度など財政支援に関する情報にも注視しておく必要があります。
47都道府県自治体の「6つの指標」最新情報は日本経済新聞サイトの特設ページ「47都道府県のコロナ感染 6指標で見る」掲載の一覧を、緊急事態宣言発令下にある自治体の最新情報はNHK「新型コロナウイルス特設サイト」掲載の一覧を、それぞれ見やすい参考としてご案内致します。
新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言下の対応や感染症対策に関する「新型コロナウイルス対策」記事一覧を設置しました。
少なからず、ご参考になれば幸いです。
末筆となりましたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患された方々へ謹んでお見舞い申し上げますとともに、一日も早いご快復を心よりお祈り申し上げます。
対策やご対応に苦心されているご担当者様においては、貴社と従業員の皆様が健やかにこの時節を乗り越え、影響が最小限に留まりますように。このコラムと弊社サービスが微力ながらお力になれればと思っています。
〔参考文献・関連リンク〕
- 総務省:e-GOV「新型インフルエンザ等対策特別措置法」
- 日本放送協会:新型コロナウイルス特設サイト
【詳細】コロナ対策の改正特別措置法など成立 その内容とは?
「新型コロナウイルス感染者数やNHK最新ニュース」 - 厚生労働省: 新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針変更(令和3年2月2日)(新旧対照表)
- 帝国データバンク:倒産集計レポート2021年度
- 時事通信:
「緊急事態延長で「休業要請も」 政府に財政支援要望―4都県知事」(1月29日) - 厚生労働省:雇用調整助成金の特例措置等の延長等について
- 厚生労働省:【公布通知】感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の改正について
- 経済産業省:新型コロナウイルス感染症で 影響を受ける事業者の皆様へ
初出:2021年01月29日 / 編集:2022年04月08日 |