ストレスに負けない働くオトナのメンタルケア:あなたを変える「心の眼鏡」の外し方

あなたを変える「心の眼鏡」の外し方

前回の「すぐに落ち込んでしまう人にありがちな原因とは」では、何かと落ち込みがち・イライラしがちな方にありがちな要因の一つとして、さまざまな「心の眼鏡」について解説しました。

社会の中にある「常識」「こうしなくちゃ」は、ビジネスマンの礼儀として、またきちんとした生活に不可欠です。ですが根拠のない思い込みや捉え方のクセは、自分の中の事実をねじ曲げ心を長く苦しめてしまいます。「ダメな点ばかり目に入る」「何もかも自分のせい」「うまくいくわけがない」……。あなたの考え方や行動からこれらの「心の眼鏡」を外し、心を楽にする方法を実践してみましょう。
 

Step.1 
眼鏡を選ぶならまず「鏡ノート」を書こう!

自分の眼鏡を見つけるのに最も有効なのは「鏡を見ること(客観視)」ですよね。

客観視というと「人の意見を聞かなければならないの?」と思いがちですが、大事なのは「自分の感情や考えから距離をとって振り返る」ことだけ。簡単に自分の頭の中からノートやメモ帳に吐き出すだけでも、冷静に見返すことができます。
まさにノートやメモ帳は「頭の中の鏡」、紙の中だけは素直に思ったままを綴ってみましょう。
 

・モヤモヤした、落ちこんだ……の内訳は?

書き終わったら、その出来事に関して「何を感じているのか・どう思っているのか」をパーセンテージで表して書き加えてみましょう。「イライラ:80%」や「怒り:50%」など、大まかで構いませんので今感じていることに名前を付けて数量化することが大事です。
「これはどんな感情かな」と考えることで、「自分が感じているのはこんな感情だったのか!」と気づき、受け止める助けになります。
「名前が付けられない」「言葉が浮かばない」と思う方は、その感情に一番近い音や感触を当てはめてみましょう。感情地図や表現辞書を引いてみるというのも良いですね。
 

・時間をおいて、「その時の自分」をパーツごとにチェック

書いた直後は、どうしてもその内容にとらわれてしまうもの。一晩、時間をおいて内容を見返しましょう。ちょっと離れてみると、問題の内容や感じ方に「あれ?」と思う点があるかもしれません。

「なんだ、こんなことか」と納得できるなら問題は解決ですが、その「?」は心の眼鏡かもしれません。より詳しくみるために、「?」と感じた問題は、別の紙に「何が起きたのか/なんで思ったのか/その結果、どういう行動をした・どう感じた」の3つに分解して書き直します。何について詳しく書いているのか、どんな理由があるのかに注目すると自分の眼鏡について気がつきやすいかもしれません。
 

Step.2 
心の眼鏡の洗い出しを実行

書き出された内容は、どんな内容になりましたか?次はその「鏡」から、心の眼鏡を見つけてみましょう。
見つけるコツは「事実に基づいているか・考えと出来事の間に筋道はあるか・考えが自分を苦しめていないか」です。

1人でもできる簡単な確認方法を、3つご紹介します。
 

確認方法その1 「ねば、れば」を洗い出しましょう

「~~ねばならない」「~~しなければ○○だ」という思考に心の眼鏡は隠されています。前回の記事を見直していただいて、どんな眼鏡でその出来事を見ているのか整理しましょう。それに理由はありますか?知らず知らずのうちに、自分の「心の眼鏡」が入り込んでいませんか?
 

確認方法その2 「でもしか」でポジティブに

出来事と感じたことは、「自分から見た視点」を中心に構成されています。
もしかしたら出来事には自分の知らない背景があったり、その人の事情があったりするかもしれません。それを踏まえて、「でも、もしかして」とポジティブに考えることはできるでしょうか?書き出した内容に、自分とは別の人になった気分でコメントをつけてみましょう。  
 

確認方法その3 3回「なんで?」で隅々まで

心の眼鏡は身近過ぎて見つかりにくいのが厄介。一見正しそうに見える考えでも、それがあなたを苦しめているかもしれません。
「~~はダメだ」「~じゃなきゃいけない」「絶対・普通は~~だ」という言葉があったら、それがなぜなのか自分に問いかけてみましょう。
ダメだと思うことで一体何が起こりますか? それは本当に実際起こった事実と整合性はありますか?
 

Step.3  
いらない・合わない眼鏡の捨て方

「確かにこれはあり得る」「状況や確証があって確かにそうだ、と思える」眼鏡なら、これからも使う機会があるかもしれません。今あなたがつらいなら、今回は「不採用」ということで外して横に置いておきましょう。「そうかもしれないね、それにこしたことはないね」といったん受け止めるだけで十分です。
代わりに、「でも○○かもしれない!」とちょっとポジティブになる考えを使って、その場合自分に何ができるか、メモして行動してみましょう。

「思い込みだった」「何の証拠もなかった」という場合、それはあなたを近眼にする「あわない眼鏡」です。自分からその眼鏡を取り外し、捨ててしまいましょう。

捨てると言っても長年かけて身につけたものですので、簡単に外せるものではない場合が大半です。けれどまずは「わたしはこの眼鏡がかかってるんだ!」と気がつくことができれば、次何か落ち込むことがあったとき、「もしかして、このせいじゃない?」と疑うことができます。「その考えを採用しなかったら?」と別の視点から出来事を見直してみましょう!
 

最後に「どう思うようになったか」をチェック

最後にシートを書いた状態の今の自分がどう感じているか、感情の内訳をパーセンテージで表しましょう。どう思ったかのパーセンテージが眼鏡を見つける前と変化したか、今落ちついて自分の状況を振り返っている状態で見直します。

モヤモヤは減りましたか? モヤモヤの原因を分解し、眼鏡を外して客観的に見るだけでも問題が思っていたより小さかったんだと気がつくこともあるでしょう。特に、ポジティブな考え方や前向きな改善策・次にとるべき行動を見つけられるとより心は軽くなります。何かできることはないか、あれこれ考えてみましょう!
 

ポジティブな考えもあるけど、そう思うにはまだ無理……と思う方へ。

「感情」は大事な自分の一部分です。無視せず、ゆっくり「自分はこう思ったんだ!」とかみしめることも立ち直るためには肝心です。
大きなショックを受けたとき、精神がその出来事を消化するには1~3カ月かかると言われいます。早く元に戻りたいが故に、悲しみや怒りをないがしろにしてしまうと、後々「気が付かないストレス」として身体反応が出ることも。

新しい年をスッキリして過ごすため、心の眼鏡の棚卸をしてみましせんか。
 

本記事は、「マイナビニュース ワーク&ライフ」連載の20~30代の若手一般社員の方々を対象にしたメンタルヘルスケアコンテンツ「ストレスに負けない働くオトナのメンタルケア」の記事を連動掲載しています。
 

初出:2020年1月8日

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