新型コロナ禍の影響を受けて、営業時間の変更や日中のテイクアウト販売をスタートした飲食店、時短営業・リモートワークの要請下でも売り上げが見込める宅配サービス業やオンラインサービス事業などの新規事業展開に着手した、あるいは検討中という企業も少なくないのではないでしょうか。
年明けから関東1都3県での緊急事態宣言」が発令され、一時解除されたのも束の間、関西・首都圏を中心に感染状況は再度増加傾向を見せ、各地でステージ3相当の「まん延防止重点措置」エリアが広がりつつある中で、大阪・兵庫・京都などの関西エリアの一部で「緊急事態宣言」が発令を要請する方針を示しました。先行き不透明な状態が当面続くという判断から、大幅な事業展開の見直しを迫られている事業主の方々も少なくないのではないでしょうか。
そのような状況下、対象とする助成内容や「最大補助額1億円、予算額1兆1,485億円」という予算が付いたことから注目度が高まっている経済産業省・中小企業庁「事業再構築補助金」(中小企業等事業再構築促進事業)について、まずは簡単な概略をご案内いたします。
「事業再構築補助金」とは?
新型コロナウイルスの影響で厳しい状況にある(売上高が10%以上減少している)中小企業、中堅企業、個人事業主、企業組合等を対象に、「新分野展開」「事業転換」「業種転換」「業態転換」「事業再編」の取り組みを通じて事業規模の拡大等、思い切った事業再構築を支援する、とした補助金制度です。
「中小企業」と「中堅企業」の定義
- そもそも「中小企業」とは?
「事業再構築補助金」では、「中小企業基本法」と同様に下記の範囲を「中小企業」と規定しています。
製造業その他 | 資本金3億円以下の会社、または従業員数300人以下の会社および個人 |
---|---|
卸売業 | 資本金3億円以下の会社、または従業員数300人以下の会社および個人 |
小売業 | 資本金5千万円以下の会社、または従業員数50人以下の会社および個人 |
サービス業 | 資本金5千万円以下の会社、または従業員数100人以下の会社および個人 |
※大企業の子会社等、いわゆる「みなし大企業」は支援の対象外
※企業組合、協業組合、事業協同組合を含む「中小企業等経営強化法」第2条第1項が規定する「中小企業者」や、収益事業を行う等の要件を満たすNPO法人も支援の対象
※確定している(申告済みの)直近過去3年分の各年または各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える場合は、中小企業ではなく「中堅企業」として支援
- 「中堅企業」とは?
「事業再構築補助金」では、下記にあてはまる法人を「中堅企業」と規定しています。
●「中小企業基本法」に定める中小企業者に該当しないこと
● 資本金の額または出資の総額が10億円未満の法人であること
● 資本金の額または出資の総額が定められていない場合は、従業員数(常勤)が2,000人以下であること
「事業再構築補助金」の補助額と申請要件
注目の補助額は?
下記の4枠に対し、1兆1,485億円という予算が計上されています。
補助金額 | 補助率 | |
---|---|---|
中小企業 【通常枠】 | 100万円以上6,000万円以下 | 2/3 |
中小企業 【卒業枠】 | 6,000万円超~1億円以下 | 2/3 |
中堅企業 【通常枠】 | 100万円以上8,000万円以下 | 1/2 (4,000万円超は1/3) |
中堅企業 【グローバルV字回復枠】 | 8,000万円超~1億円以下 | 1/2 |
現時点の発表では、公募は2021年3月開始予定の「1回ではなく、令和3年度(2022年3月まで)にも複数回実施する予定」であるとしています。
主要申請要件
- 申請前の直近6か月間のうち、任意の3カ月の合計売上高が、コロナ以前 前(2019年又は2020年1~3月)の同3か月と比較して10%以上減少していること
- 「事業再構築指針」に沿った新分野展開、事業転換、事業・業種転換等に取り組むこと
» 経済産業省「事業再構築補助金」ページで2021年3月17日に公表された「事業再構築指針」(PDF)参照
- 補助事業終了後3~5年で付加価値額または従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%以上(グローバルV字回復枠は5.0%)増加の達成を見込む 事業計画を認定支援機関と策定すること
前述の法人に対し、
事業計画の策定と補助金支払いまでのプロセスや企業規模の詳細は「事業再構築補助金の概要」にて最新の情報を確認ください。本メルマガ末尾に関連リンクをまとめております。
緊急事態宣言特別枠の対象となる事業者
補助率が高い「緊急事態宣言特別枠」とは
○通常枠の要件を満たし、緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛等により影響を受けたことにより、令和3年1~3月のいずれかの月の売上高が対前年又は対前々年の同月比で30%以上減少していること。
【緊急事態宣言特別枠の補助金額と要件】
従業員数 | 補助金額 | 補助率 |
---|---|---|
5人以下 | 100万円~500万円 | 中小企業:3/4 中堅企業:2/3 |
6~20人 | 100万円~1,000万円 | |
21人以上 | 100万円~1,500万円 |
【緊急事態宣言特別枠のメリット】
○「 通常枠」より迅速な審査・採択を行うとともに、 事業規模に応じて補助金上限を設定した上で、補助率を中小企業:3/4(通常枠:2/3)中堅企業:2/3(通常枠:1/2)に引き上げ。
○特別枠で不採択の場合でも、加点の上、「通常枠」 で再審査を受けれるので採択率が高くなる可能性があります。
事業転換の具体例は
業態転換の場合
居酒屋→店舗での営業を廃止しオンライン専用の弁当の宅配事業を新たに開始
補助経費の例:店舗縮小に係る建物改修費の費用
新規サービスに係る機器導入費や広告宣伝のための費用など
※公道を走る車両、パソコン、スマートフォン等の購入費は補助対象外
新規分野展開の場合
製造業→航空部品の製造から一部、関連設備の廃棄等を行い、医療機器部品製造事業を新規に立ち上げ
補助経費の例:事業圧縮にかかる設備撤去の費用
製造のための新規設備導入にかかる費用
新規事業に従事する従業員への教育のための研修費用など


経済産業省による「事業再構築補助金」活用イメージと補助対象経費の例
【 出展 】経済産業省:事業再構築補助金のリーフレット※PDF
今すぐやっておきたい申請前の準備
①事業計画の策定
これがないと申請できません。 事業計画作成ビジネスを謳った業者等に注意する意味でもサポートを受ける前にまずはご自身で作成することをお勧めします。
②サポート先の確定
認定経営革新等支援機関と事業計画を作成が必須です。既存の顧客を抱えている税理士等、直ぐに専属でサポートしてもらえるか厳しい状況の様です。今から探していいでしょう。
さらに補助金額3,000万円を超える案件は金融機関(銀行、信金、ファンド等)も含めての事業計画作成が必要です。
>>
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kakushin/nintei/
➂GビズIDの取得
事業再構築補助金にも使えるGビズIDの取得が必須です。過去には「IT導入補助金」などで既に取得されているところもあるかもしれません。
事業計画が一番重要になりますので、準備できることはどんどん進めましょう!
>> 経済産業省「jGrants」https://www.jgrants-portal.go.jp/
当社の“補助金の達人”が「事業再構築補助金」に関する無料オンラインセミナーを開催!
事業計画を元に採択後も、経営状況等について年次報告が必要です。補助金の返還など最悪の事態を起こさないためにも、現状を踏まえ事業転換後の事業経営が一番大切です。
事業転換後を見据えた事業計画を作るために当社・情報基盤開発CMO(最高マーケティング責任者)村上によるセミナーで「事業再構築補助金」の活用ポイントを掴んでいただきたいです!
当補助金活用を検討中の方や、見通し不透明な“withコロナ”時代を踏まえた思い切った事業転換・新規事業展開をご検討の企業・団体の皆さまに向けて、補助金実績多数の当社CMO・村上による無料オンラインセミナー「事業再構築補助金 獲得のコツ」を複数回開催致します。
Zoomによるオンラインセミナー本編終了後、質疑応答や情報交換なども行っています。この機会にぜひ、お気軽にご参加ください。
※録画配信は行っていません
参加ご希望の方は上記記事の参加申し込みフォーム、または下記のフォームからも参加申し込みいただけます。

なお当社では、補助金・助成金活用のオンラインセミナーを開催していますが、申請代行業務や申請に向けたコンサルティング等は行っていません。
同補助金に関する詳細確認等は、下記の中小企業庁設置の事務局コールセンターへお問い合わせください。
事業再構築補助金事務局コールセンター |
ナビダイヤル:0570-012-088 〔受付時間〕9:00~18:00(日・祝日を除く) |
事業再構築補助金事務局システムサポートセンター |
050-8881-6942 〔受付時間〕9:00~18:00(土日・祝日を除く) |
GビズIDヘルプデスク |
0570-023-797 〔受付時間〕9:00~17:00(土日・祝日を除く) |
補助金申請に向けた事前審査など認定支援機関をお探しの場合は、お取引先の金融機関へご相談いただくか、中小企業庁「認定経営革新等支援機関 検索システム」のご利用をお勧め致します。
※オンラインセミナーでは、当社の経験に基づいた“コンサルタントの相場観や現況”、“おすすめの金融機関”等についても解説しています。
※2021年5月20日追記
「事業再構築補助金」の二次公募開始と申請受付開始予定日が同日18時にアナウンスされたのを受け、記事中の関連する記載を更新しました。
※2021年5月11日追記
緊急事態宣言発令の延長と発令地域の追加、および5月7日の「事業再構築補助金」一次応募締め切りに関する記載を追加・更新しました。
※2021年4月30日追記
同日午前中に発生した電子申請システム障害に伴う「事業再構築補助金」一次応募締め切り延長の発表を受け、記事を加筆・修正しました。
※2021年4月16日追記
4月15日~の電子申請受付開始と新たな資料公開を踏まえ、記事中の関連リンクや記載を更新しました 。
〔参考文献・関連リンク〕
- 経済産業省:新型コロナウイルス感染症関連「事業再構築補助金」
- 中小企業庁:
事業再構築補助金 特設サイト
– 事業再構築補助金リーフレット ※2021年5月20日改訂
– 事業再構築補助金の概要 3.0版 ※2021年5月20日公開
– 公募要領(第2回)1.1版 ※2021年5月21日改訂
– 事業再構築指針の手引き 1.1版 ※2021年3月29日更改訂
– 活用イメージ集(全体版) ※2021年4月9日公開 - 中小企業庁:認定経営革新等支援機関
– 認定経営革新等支援機関 検索システム - 経済産業省:jGrants(経済産業省運営の補助金電子申請システム)
初出:2021年3月29日 / 編集:2021年5月21日 |