「IT導入補助金2020」徹底解説!補助金対象になる”要件”とは?

「IT導入補助金2020」徹底解説!補助金対象になる”要件”とは?

<編集部よりお知らせ>
2020年より追加された『C類型』に関しては、下記記事をご覧ください。

  

 


パソコンやスマートフォンの普及に従い、最新の通信技術やコミュニケーションツールが一般の方でも簡単に、日常の中で触れられるようになりました。ビジネスの世界でもその流れは顕著で、これまでも親しまれてきた会計ソフトやバックオフィス管理システムの躍進に加え、ITによるシュミレートや 分析システムの活躍は生産性やスタッフの作業効率化を支えています。

若年層の人手不足が問題として表面化しつつあるなか、一人一人の人財的価値の高い「中小企業」こそ、IT導入による生産性アップが見込まれるとして経産省が企画した補助金があります。

これを機に導入を検討してはいかがでしょうか。
 

IT導入補助金の目標は「生産性の向上」

【IT導入補助金】は、幅広い業種の中小企業・小規模事業者の「生産性向上」を目標として、役立つITツールの導入を促すためその経費の一部を国が補助する制度です。

「生産性向上」は少子高齢化・人口減少社会が常となった現代では各国で取り組まれる急務の課題ですが、日本経済を回している主役である中小企業の生産性・成長性の伸びにくさが課題となっています。大企業と中小企業を 従業員一人当たりの付加価値 で比較した際その差は倍以上に大きく、雇用の確保・安定化の点でも企業の持続的な成長、それを支える「生産性の向上」が求められています。

その「生産性向上」に有効なツールとして、ITの活用・導入が着目されました。
従来であれば導入に様々な機器や専門的な知識が求められたIT技術ですが、近年のタブレット・スマートフォンといった「スマートデバイス」の普及、 月額利用料金制のクラウドサービスの登場で初期コストが大幅にダウンするなど、導入のハードルをぐんと下げる大きな変化がありました。

IT導入補助金は、このような動向を踏まえ自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する経費の一部を補助することで、中小企業・小規模事業者の業務効率化・売上アップの一助とするものです。
 

そもそも「補助金」とはどんな制度?

国の経済的発展、ひいては事業者と企業で働く国民のために政府は様々な目的の政策を展開しています。しかし、その目標を達成するためには「事業者や企業の参加・協力」といった実務的な部分での取り組みが欠かせません。

目標達成のため、目指す目的に沿った事業・取り組みを行う事業者に対して実施に関するサポートする制度が「補助金」です。

補助金によって経済的なサポートを行うことにより、事業者の参加意欲やそれぞれの事業展開・活動拡大の促進を図り、目標達成を目指す「動き・影響」を大きくしていくことが目的です。

補助金制度は制度ごとに対象者や規定が設けられて、審査を通過した企業、民間団体、個人、自治体等の事業者の方々が交付を受けられます。
 

導入ツールはIT導入支援事業者と相談を

IT導入補助金の対象となる費用は、以下の要件を満たす事業にかかる経費・費用となります。
 

  • 日本国内で実施される事業であること
  • IT導入支援事業者が登録するITツールを導入する事業であること


「ITツール」は、その内容からソフトウェアだけでなく、サービスや環境整備といった内容のものまで幅広く対象とされています。

主だったツール内容は、その形態から以下の3種類に分類されます。
  

  1. ソフトウェア(業務プロセス・業務環境):
    産性が向上するまたはテレワーク等の業務環境改善に寄与するソフトウェア 。経理・管理システム本体やテレワーク等の業務環境改善に 用いられるプログラム、 顧客対応・販売支援といった業務固有のプロセスをより効率的に改善するソフトウェアとして、一般的に開発・販売されているソフトウェアを指す。
  2. ソフトウェア(オプション):
    データの分析・ワーク環境の整備・データとシステムの連携といったソフトウエアの導入に伴い必要となるオプション製品 。セキュリティ等も含まれる。
  3. 役務(付帯サービスの提供):
    ソフトウエアの導入に伴い必要となるITツールにまつわるサービス全般。 マニュアル整備や 保守サービス、インストール代行、アフターフォロー、ハードウェアレンタル等が含まれる。
     

ポータルサイトでは、ITツール検索機能を公開しています。

導入事例やITツールベンダーとの相談を利用して、自社にマッチするITツールやツールの使い方を探してみましょう。

ただし、交付決定前に契約、導入等を行い、それに伴い発生した経費は補助対象となりません。 契約時には申請スケジュールも併せて確認が必要です。
 

IT導入支援事業者とは?

IT導入支援事業者とは、ともに補助事業を実施する実施者・申請者のパートナーとなるITツールの提供ベンダー(製造元、販売供給元)を表します 。
補助を利用する中小企業・小規模事業者の環境・目的・業務内容にマッチしたITツールの提案・導入、事業計画の策定支援をはじめ各種申請等の手続きのサポート、ツールによる生産性向上計画の実施をアシストする役目を担います。

IT導入支援事業者になるためには、ポータルサイトより事前に事務局にITツール及び業者の登録申請を行う必要があります。 登録された事業者はポータルサイト上の検索機能に掲載され、申請を希望する企業が自由に情報を閲覧することができます。

IT導入支援事業者の役割は、主に以下のようなものとなります。
 

  1. 生産性の向上に資するITツールを事務局に登録している
     
  2. 中小企業に対し、適切なITツールの提案・導入・アフターサポートを実施する
     
  3. 補助事業に関するお問い合わせ・疑問等について対応を行い、申請・活用をサポートする
     
  4. 補助金不正受給等の不正行為を防止し、適切な補助事業の管理・監督を行う
     
  5. 導入されるITツールが生産性の向上効果を最大限引き出すための支援を行う
     

交付申請のサポートや実績報告、ITツールのアフターフォローについてもIT導入支援事業者がそのサポートを行うよう定められています。申請手続きやその後の事業成長計画についても相談・対応してもらえるのは安心ですね。
 

申請枠は「ツールの目的」と「予算」で選ぼう

企業が補助金申請を計画するときに一番気になるのは『交付額』。
IT導入補助金では申請枠に応じて補助率が設定され、申請した金額・費用に基づいて交付される金額を計算します。

通常枠はA・Bの2種類が用意され、 「補助対象となる経費の金額」が異なります。

・30万~150万円未満の申請:A枠
・150万~450万円以内の申請:B枠

 
A/B枠では他にも、「申請時に求められる要件」や「対象となる導入ツール」などに相違があります。「通常枠」と呼ばれるこの二つの枠では、最大で申請経費の1/2が補助金として交付されます。

2020年4月からは新型コロナウイルス感染症対策を目的とする予算に対して高い補助率を設けた「C枠」が設けられ、一層実用的な制度になりました。
  

 

 

対象企業は業種・資本金・従業員数を確認

申請の対象となる企業は【日本で登録・事業を行っている中小企業】となります。中小企業の定義は、政府統計ポータルサイト e-stat に掲載されている各種中小企業調査と同様に、 法で定められた「事業の主たる業種」に沿って判断されます。
資本金、または従業員数のどちらかが当てはまれば中小企業とされるので確認してみましょう。
 

ここで人数にカウントされる「常時使用する従業員」とは解雇通知が必要となる従業員(パート・アルバイトを含む)となります。解雇通知を行わなければならない基準は労働基準法第20条に基づくものとなります。

また、申請を希望する企業は以下の要件を満たさなければなりません。
 

  • 申請の直近月において、法令上の地域別最低賃金以上を支払っていること
     
  • 交付申請に必要な情報を入力し、必要書類を必ず提出すること。 また、事務局からの連絡があった際には応じること
     
  • 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」の「★一つ星」要件である「情報セキュリティ対策5か条」に関して取り組むことに同意すること
     
  • ITツール導入による労働生産性の伸び率の向上について、規定と同等またはそれ以上の伸び率で計算した1年後、3年後の数値目標を作成すること
     

事業計画や数値目標の規定は、枠によって提出の有無や計算に用いる「伸び率」が異なります。
ツール選定時に、業者とどれだけの生産性向上にあたるのか話し合いましょう。
 

申請には「gBizIDプライム」が必要
事業開始はスケジュールに気を付けて

申請手続きには 「ITツールの選択」 「IT導入支援事業者の選定」に加えて、
「gBizIDプライムアカウントの取得」を事前に行わなければなりません。

「gBizIDプライムアカウント」は2020年から導入された1つのアカウントで複 数の行政サービスにアクセスできる認証システムです。 そのほかの電子申請にも使用できるものですので、企業なら取得しておくと今後も手続きがスムーズでしょう。

アカウントには種類があり、IT導入補助金には【審査・所有物による2要素認証】が必要となる 「gBizIDプライムアカウント」 の取得が求められます。登録費用などは無料ですが、 申請から取得まで平均2~3週間、現状であれば1週間ほどを要します。

現在 電子申請の需要が急増したことによって、お問い合わせや受付の混雑が予想されています。余裕を持った申請・登録をお勧めします。

また、申請を行う事業者には その他に以下2点が必須となります。

  • 連絡を受け取れる法人代表者・事業主自身のメールアドレス
  • SMS受信が可能な 法人代表者・事業主自身の携帯電話番号

これらは、登録された携帯電話番号宛てに、申請内容に関する連絡やSMSにて申請に必要なパスワード等の通知を行うため手続きを進めるにあたって必要となります。

申請時には、なるべくすぐに連絡が取れる番号を登録しましょう。
 


IT導入補助金に限らず、 様々な補助金・支援制度が新型コロナウイルス感染症対策として対象の拡大や要件の緩和を行っています。
従業員としても「出社できない」「営業できない」という環境は不安の種、メンタルヘルスの面から見ても、生活の安定は第一に確保したいものです。

企業の体力・経営状況を支えるヒントとして、厚生労働省や経済産業省の発表には今後も注目していきましょう。
 

初出:2020年06月01日

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