会話を変える「リアクション」とは?

わたし達の悩みの多くは、わたし達を取り巻く「環境」から生まれます。環境と聞くと、暑い・寒いといった天候やオフィスのような空間が浮かぶでしょう。ですが、わたし達を取り巻く人間関係や会話・やり取りも「人的環境」として、メンタルヘルスでは重要です。

人的環境は人と人とのやり取りで作られているため、相手から来た刺激に対して「自分がどのような反応をするか」で環境の傾向を変えていくことができます。自分の心を支える環境はなるべくポジティブに整えたいですよね、そのために、まず自分からポジティブなレスポンスを返せるようにしてみませんか。
 

「確認と反応」で、相手がうれしいレスポンスを

人と人とのコミュニケーション、特に相手から発信された情報を受け取るとき、わたし達はリアクションを返します。このリアクションは、「確認」と「反応」の2種類に分けられます。

「確認」は、相手から発信されたことを「きちんと受け止めたよ!」というリアクションで、「相手の発言を聞き、聞いた内容から『言いたいこと』を理解して、それが合っているかどうかを確かめる」行動を示します。「名前を呼ばれたときに返事をする」といったことから「話の内容を要約して返す」まで幅広く当てはまります。
「反応」は相手から発信された内容に対して自分が思ったこと、感じたことを返すリアクションです。賛成・反対などの意思表示から、感想、受け取った情報についての説明や意見を伝えることも含まれます。

関係を作るためのコミュニケーションに欠かせない「反応」ですが、相手の心理状態・TPO・表現方法によっては、マイナスイメージを生んでしまうことになります。一方、「確認」は会話を進める効果はあまりありませんが、「内容をきちんと受け止めた」というメッセージ性が高く、相手の状態に左右されることなく好意的に受け止められる性質があります。

そのため、話しかけられたらまず「確認」、それから「反応」のレスポンスを行うと、相手に「この人は話をきちんと聞いてくれる、受け止めてくれる」という安心を感じてもらいやすくなるのです。
 

「反応」を返す前に「確認」のリアクションを挟む

「確認」のメッセージは、「自分はこう理解したよ」と相手に伝えることにもなるので、互いの誤解を防ぐメリットがあります。「○○だったんだね」「××ということでしょうか?」「そうだったんだ、△△と考えたんだね」といった言葉で一度ワンクッションを置くことで、自分の頭の中でも情報を整理する冷静さが生まれ、感情に任せて相手が不快に思うリアクションを避けることができるでしょう。

相手に対して反射的に「反応」を返す前に、一度「聞いているよ、わかったよ」というメッセージを含む「確認」のリアクションを挟んでみましょう。
また、「確認」によって情報共有がちゃんと行われているということは、「共感してくれる」「そのときの感情を共有してくれる」というイメージにもつながり、コミュニケーションを深める手掛かりになります。
「何かいいことありましたか?」とポジティブな体験を話題にすれば、その後の会話も弾みます。

業務で発生する報告や相談の基礎は、人と人との関連性にあります。きちんと好印象なコミュニケーションの方法を知って、積極的に関わっていけたらいいですね。
 

「無反応」「否定」「冷やかす」などは避けよう

コミュニケーションを取る生物はみな、自分の行動に対して「反応が欲しい」という欲求を持っています。
つまり、「無反応」「聞いてもらえない、わかってもらえない」という状況は基本的に不快と感じるのです。

話しかけられたけどとっさにリアクションが取れなかったときなどは、時間が空いてもいいので「先ほどは失礼いたしました、何か御用ですか?」の一言を添えたいもの。
またコミュニケーションの基本として、悪気はなくとも親密な間柄にならない限り「否定」や「冷やかし・いじり」はNGです。
 


これからの年度末、一緒に働く同僚との連絡や相談も増える時期です。
密度が仕事の効率に与えるポジティブな影響についても研究が進んでいます。良好な人間関係の中にいるとストレスが減るという報告もありますので、「確認」と「反応」のリアクションをぜひ使ってみてくださいね。
 

本記事は、「マイナビニュース ワーク&ライフ」連載の20~30代の若手一般社員の方々を対象にしたメンタルヘルスケアコンテンツ「ストレスに負けない働くオトナのメンタルケア」の記事を連動掲載しています。
 

初出:2019年09月26日 / 編集:2023年12月1日

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