「えるぼし認定」で“女性の活躍”を推進!「一般事業主行動計画」策定義務化も後押し?

「えるぼし認定」をご存じですか?2022年4月の義務化で中小企業も注目!?誰もが活躍しやすい職場づくり。

働きたい人が性別にかかわらず、その個性と能力を十分に発揮して働いていくためには、仕事と家庭の両立ができ、男女ともにさまざまな働き方を選択しながら活躍できる職場づくりが不可欠です。
 
女性が働きやすい職場環境づくりに積極的に取り組んでいる企業の証、「えるぼし認定」をご存じですか?
 
現在、全国で1,384社(プラチナえるぼし認定は15社)が取得している、えるぼし認定。(2021年6月末、厚生労働省公表値)
認定を受けることで、企業のイメージアップや優秀な人材・多様性のある人材の確保が期待できることから、中小企業の取得も増えているようです。
 
また、えるぼし認定のために必要な「一般事業主行動計画」は、2022年4月から、常時雇用の従業員が101人を超える中小企業・事業所も策定が義務となります。整備のために活用できる補助金もあります。

本記事では、「えるぼし認定/プラチナえるぼし認定」のメリットや取得に必要なことを、一般事業主行動計画策定の義務化に向けて準備しておかなければならないことと合わせてご紹介します。
 

えるぼし認定には「一般事業主行動計画」が必要

「えるぼし認定」を受けるためには、まず「一般事業主行動計画」をつくり、その計画を届出・公表することが必要です。そして、⼥性の活躍推進に関する取り組み状況が一定基準以上の場合に、事業主の申請によって認められます。この行動計画は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)」という法律の中に記載されています。
 

 

■「女性活躍推進法」とは?

「女性活躍推進法」は、2016年(平成28年)4月に施行された法律です。
女性が自ら希望する形で働きその個性や能力を十分に発揮できる社会を実現するために、国や地方公共団体、民間事業主(一般事業主)それぞれに対して女性の活躍推進に関する責務などを定めています。
 

ロールモデルとなる女性役員の存在や、男女問わず長く在席して活躍の場がある企業には優秀な人材が集まりやすい?

ロールモデルとなる女性役員の存在や、男女問わず長く在席して活躍の場がある企業には優秀な人材が集まりやすい?

この法律の中で企業の皆さまが押さえておかなければならないのは、「一般事業主行動計画」についてです。
 

企業などは主に次の3つが求められます。
 
① 自社の女性活躍に関する状況把握・課題分析を行うこと
② 女性の活躍推進に関する自社の課題を解決するために、数値目標と取り組みを盛り込んだ、一般事業主行動計画の策定・届出
③ 自社の女性活躍状況に関する情報の公表

 

一般事業主行動計画の作成・届出・公表の義務は、現状では常時雇用する労働者が301人以上の事業主に限られていますが、2022年(令和4年)4月以降は、101人以上の企業まで対象が拡大されます。つまり令和4年度(2022年4月~)からは従業員が101人を超える中小企業・事業所も義務となります。
 

■「女性活躍推進法」改正で何が変わった?中小企業への影響は?

女性活躍推進法は2019年に改正(令和元年5月29日成立、令和元年6月5日公布)され、これまでは努力義務だった「常時雇用する労働者が301人以上から101人以上の事業主」についても対応が求められるようになりました。(令和4年(2022年)4月より適用)
 
また、すでに義務だった「常時雇用する労働者が301人以上の事業主」に対しては、行動計画に盛り込む「数値目標」と「情報公表」に区分※①②が加わり、それぞれに対して1項目以上(合計2項目以上)を選択し関連する数値目標を定めること(令和2年4月~)、自社の⼥性の活躍に関する情報公表を行うこと(令和2年6月~)が順次適用されました。

※行動計画の数値目標、および、社外へ公表する情報内容は、下記の2つの区分に分けられ、それぞれに対して細かな項目が設けられています。(詳しくは厚生労働省の手引きでご確認ください。)
① 女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供
② 職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備

 
以上2点のように、女性活躍の推進のためには「機会の提供」「雇用環境の整備」の両側面から取り組むことが必要であることから、より具体的な計画に改められました。
 

「えるぼし認定/プラチナえるぼし認定」の基準とメリット

一般事業主行動計画を策定・届出を行った事業主のうち、⼥性の活躍推進に関する取り組み状況が一定基準以上である事業主は、都道府県労働局への申請により、厚⽣労働大臣の認定を受けることができます。これを「えるぼし認定」といいます。
 
えるぼし認定」と「プラチナえるぼし認定」の二種類があり、プラチナえるぼし認定は、えるぼし認定のワンランク上の基準を満たす場合に認定されます。認定をうけた事業主は、認定マークを名刺や広告、会社HPなどに付けることができ、女性が活躍しやすい環境づくりに積極的な企業・法人として自社のPRにつながります。

※えるぼしの意味:「L」には、Lady(女性)、Labour(働く、取り組む)、Lead(手本)などさまざまな意味があり、「円」は企業や社会、「L」はエレガントに力強く活躍する女性をイメージしています。
 

■えるぼし/プラチナえるぼし認定基準

主な認定基準は次の5つです。

①採用
②継続就業
③労働時間等の働き方
④管理職比率
⑤多様なキャリアコース

採用からキャリアアップまで、仕事をしていくうえで、女性が能力を発揮しやすい職場環境であるかという観点から、上記の5つの評価項目が計画の中に適切に定められていること、またその実績を「女性の活躍推進企業データベース」に毎年公表することが必要です。
 
さらに、「えるぼし認定」は3段階あり、上記5項目のうち、えるぼしの基準を満たしている項目数に応じて取得できるえるぼしが決まります。

(出典:厚生労働省ページ)

■プラチナえるぼし認定

「プラチナえるぼし認定」は、2020年(令和2年)6月に新しく始まりました。
えるぼし認定(3段階のうちのいずれか)を受けた事業主のうち、次の基準を満たしている場合に認定されます。

・上記5つの評価項目を、プラチナえるぼしの基準ですべて満たしている
・策定した一般事業主行動計画に基づく取り組みを実施し、目標を達成している
・男女雇用機会均等推進者、職業家庭両立推進者を選任している
・女性活躍推進法に基づく情報公表項目(社内制度の概要を除く)のうち、8項目以上を 「 女性の活躍推進企業データベース 」 で公表している

■えるぼし認定のメリット

えるぼし認定を受けると次のようなメリットがあります。

  • 厚生労働大臣が定める認定マークを名刺や広告、取引先との書類など商品PRに使用可能。
  • 国が発注する税金を使った契約を公共調達などで、その公共調達で加点評価を受け優遇される。
  • 日本政策金融公庫の「働き方改革推進支援資金」を低金利で利用可能。

プラチナえるぼし認定を受けると、えるぼし認定のメリットに加え、一般事業主行動計画の策定や労働局への届出が免除されます。このように、きちんと計画を立てそれを実行に移していると認められた企業は、イメージアップや公共調達で有利になるだけでなく、業務や資金面の効率化を図ることもできます。
 
ただし、えるぼし認定は年に1回の更新が必要です。もし基準を満たしていない場合は認定が取り消しになることもありますので、一度取得したら終わりではなく、女性が能力を発揮しやすい職場環境を保つことが必要なのです。

なお、一般事業主行動計画が努力義務とされている企業についても、行動計画の策定や届出等を行うことで、えるぼしの認定を受けることが可能です。
 

■補助金活用で賢く環境整備

企業イメージが向上し優秀で多様な力のある人材の確保ができることは、事業の発展にもつながります。 このように多くのメリットがあるとはいえ、環境の整備にはなかなか手間も費用もかかるものです。そこで、補助金を活用するのもひとつの方法です。
女性活躍推進法に沿って、出産・育児等を理由として退職することなく、能力を高めつつ働き続けられる職場環境を整備するために、自社の女性活躍に関する状況把握・課題分析を行ったうえで、課題解決に相応しい数値目標・取組目標を盛り込んだ一般事業主行動計画を策定・公表・届出を行い、数値目標を達成した中小企業事業主に支給される、「両立支援等助成金(女性活躍加速化コース)」もありますので、参考にしてみてはいかがでしょうか。

※厚生労働省の特設ページ: 事業主の方への給付金のご案内(両立支援等助成金)
 

「くるみん認定」と何が違う?

■「くるみん認定」との違い

えるぼしと同じく、厚生労働大臣の承認を受けた企業に与えられる証として「くるみん認定」があります。
えるぼしは女性の活躍を推進している企業として認められるものですが、くるみんは仕事と子育ての両立を推進している子育てサポート企業を認定する制度です。
えるぼしもくるみんも、一般事業主行動計画の策定と届出を行い、要件を満たす企業が申請することで厚生労働大臣の認定を受けられるという点では同じですが、くるみんは「次世代育成支援対策推進法(次世代法)」という法律に基づいています。また、くるみん認定には、女性従業員の育児休業取得率が75%以上であることや労働時間の調整(フレックスタイム制や時差出勤など)や所定外労働の削減、有給休暇の取得促進、その他多様な働き方を整備するための措置を設けているかなどの要件を満たす必要があり、なかでも男性の育児休業取得率が重要なカギとなっています。
 

「えるぼし認定」と「くるみん認定」の違い

「えるぼし認定」と「くるみん認定」の違い
(厚生労働省の資料などをもとに作成)

  
※くるみん認定については、別記事で詳しくご紹介しています。
 

 

■えるぼし・くるみんの同時認定を受ける企業も増えている!?

えるぼしもくるみんも、一般事業主行動計画の策定と届出が必要だとお伝えしましたが、
 
「2つも別々の行動計画を作成しなければならないの?」
「同時に2種類の行動計画を準備するなんて、業務の負担が大きい……」
 
そうお思いの方に朗報です。
⼥性活躍推進法と次世代法は別の法律ですが、⾏動計画の策定・届出については、それぞれの方に基づく要件を満たせば一体的につくることができ、「次世代法・⼥性活躍推進法一体型様式」(「女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を策定しましょう!」P.16-18参照)を使って一度に届出を行うことが可能です。
実際に、行動計画を一体的に作成し、えるぼし・くるみんの同時認定を受ける企業も増えています。
 

2022年4月義務化。今、中小企業が取り組みたい「働きやすい職場づくり

近年、育児や介護などと関連して、働き方に関するさまざまな法改正や制度改革が進められる中、今後はさらに仕事と家庭の両立支援が求められていきます。男性を含む従業員への育児休業取得の働きかけも義務(2022年4月~)となります。
 
えるぼし認定取得に向けて職場環境の改善に取り組むことで、厚生労働大臣によるお墨付きを得られるだけでなく、自社の「働きやすさ」を証明することができるひとつの指標ともなります。女性が働きやすい職場環境を整備することはもちろん、男女ともに多様な働き方を選択し、それぞれの能力を活かして活躍できる職場を目指す第一歩にもつながります。
 
また、冒頭でお伝えしてきた通り、2022年(令和4年)4月以降は「常時雇用する従業員数が101人以上」の企業・事業所は下記2点を行うことが義務となります。
 
・一般事業主行動計画を策定し最寄りの労働局へ届け出ること
・自社の女性の活躍状況について情報公開をすること

 
そのため常時雇用する従業員が101人以上300人以下の中小企業の皆さまは、来年2022年(令和4年)4月の義務化までに「一般事業主行動計画を策定や届出」と「社外への情報公開のための準備」の両方について対応できるようにしておく必要があります。直前になって慌てないために、自社の女性従業員の採用状況や管理職の男女比率などの把握や計画の必要事項の確認など、厚生労働省の手引きを参考にしながら、早めの準備をおすすめします。
 
女性を含む誰もが活躍しやすい職場環境の整備に向けて、「えるぼし認定」や「一般事業主行動計画」を活用してみてはいかかでしょうか。
 

 

〔 参考文献・関連リンク 〕

 

初出:2021年11月17日 / 編集:2021年12月13日

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